欧州マーケットダイジェスト・14日 株高・金利低下・ユーロ全面安

(14日終値:15日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=147.42円(14日15時時点比△0.31円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=156.81円(▲1.31円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0636ドル(▲0.0112ドル)
FTSE100種総合株価指数:7673.08(前営業日比△147.09)
ドイツ株式指数(DAX):15805.29(△151.26)
10年物英国債利回り:4.281%(▲0.066%)
10年物独国債利回り:2.593%(▲0.058%)

※△はプラス、▲はマイナスを表す。

(主な欧州経済指標)        <発表値>    <前回発表値>
8月スイス生産者輸入価格(前月比)  ▲0.2%      ▲0.1%
欧州中央銀行(ECB)、政策金利   4.50%に引き上げ   4.25%

※改は改定値を表す。▲はマイナス。

(各市場の動き)
・ユーロドルは軟調だった。欧州中央銀行(ECB)はこの日の定例理事会で政策金利を現行の4.25%から4.50%に引き上げると決めたと発表。市場では金利据え置きを予想する向きも多かっただけに、発表直後はユーロ買いで反応した。21時30分前には一時1.0747ドル付近まで値を上げた。
 ただ、声明では「現在の評価を踏まえ、理事会は政策金利が十分に長期間維持されれば、インフレ率が目標に適時に戻るのに十分に資する水準に達したと考えている」と指摘し、2023-25年の成長率見通しを引き下げ、景気の先行きに弱気な見方を示した。市場では「現在の利上げサイクルが終了した」との見方が広がり、ユーロ売りを促した。ラガルドECB総裁が理事会後の会見で「景気は今後数カ月、低迷が続くだろう」「経済成長に対するリスクは下方に傾いている」と述べたことも相場の重しとなり、3時前には1.0632ドルと3月20日以来約半年ぶりの安値を更新した。
 なお、ECBは今後の金融引き締めについては「データ次第」とし、ラガルド総裁は「ECBの金利がピークに達したかについては言えない」とも語った。

・ドル円はもみ合い。8月米小売売上高や8月米卸売物価指数(PPI)、前週分の米新規失業保険申請件数など、この日発表の米経済指標が軒並み予想より強い内容だったことが分かると円売り・ドル買いが先行。21時30分過ぎに一時147.56円と日通し高値を付けた。
 ただ、前日の高値147.73円が目先レジスタンスとして意識されると失速した。ユーロ円中心にクロス円が下落した影響も受けて一時147.02円とアジア時間に付けた日通し安値に面合わせした。
 もっとも、米10年債利回りが4.29%台まで上昇すると再び買いが優勢となり、147.49円付近まで持ち直している。

・ユーロ円は一転下落した。ECBが0.25%の利上げに踏み切ると一時158.39円と日通し高値を付けたものの、すぐに失速した。声明で政策金利がインフレ抑制に寄与する水準に到達したことを示唆すると、ECBの利上げ打ち止め観測が強まりユーロ売りが膨らんだ。1時30分前には一時156.64円と日通し安値を更新した。
 また、ユーロ豪ドルは1.6513豪ドル、ユーロNZドルは1.7976NZドル、ユーロカナダドルは1.4359カナダドル、ユーロスイスフランは0.9535スイスフランまで下落した。

・ロンドン株式相場は大幅に反発。前日発表の8月米消費者物価指数(CPI)を受けて米株式相場が上昇すると買い安心感が広がった。ECBはこの日、0.25%の利上げを決めたものの、利上げ打ち止めの可能性を示唆。英中銀(BOE)による追加利上げ観測も後退し、株買いを促した。リオ・ティントやアングロ・アメリカンなど素材株の上昇が目立ったほか、BPやシェルなどエネルギー株が買われた。

・フランクフルト株式相場は3日ぶりに反発。ECBはこの日の理事会で政策金利を0.25%引き上げると決めたものの、声明では「現在の評価を踏まえ、理事会は政策金利が十分に長期間維持されれば、インフレ率が目標に適時に戻るのに十分に資する水準に達したと考えている」と明記。今回の利上げで政策金利がインフレ抑制に寄与する水準に到達したことを示唆した。市場では「最後の利上げになった公算が大きい」との見方が多く、株買いを誘った。

・欧州債券相場は上昇。「ECBの利上げは今日が最後になった」との見方が多く、欧州国債を買い直す動きが活発化した。

(中村)
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