NYマーケットダイジェスト・19日 株安・長期金利上昇・円もみ合い(2)

・米国株式市場でダウ工業株30種平均は続落。米長期金利の上昇を受けて株式の相対的な割高感が意識されると売りが優勢となった。中東情勢を巡る緊張が高まっていることも、投資家心理を冷やした。
 パウエルFRB議長が講演で「政策判断を慎重に進める」「利回りの上昇は利上げの必要性低下を意味し得る」などと述べると買い戻しが優勢となり、指数は180ドル上昇する場面もあった。
 ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は3日続落。決算内容が嫌気された電気自動車のテスラが一時10%を超す大幅下落となった。

・米国債券相場で長期ゾーンは4日続落。パウエルFRB議長は講演で「インフレ率は依然として高すぎる」と述べ、「物価上昇率が目標の2%に向かって低下すると確信できるまで金融引き締め的な政策を維持する」との考えを改めて表明。FRBが高金利を長期間維持するとの見方から、債券売りが続いた。利回りは一時4.9920%前後と2007年7月以来の高水準を付けた。

・原油先物相場は続伸。時間外では86ドル半ばまで売り戻される場面があった。米政府がOPEC加盟国ベネズエラに対する制裁を緩和すると発表し、ベネズエラの石油生産拡大への期待が高まった。もっとも、NY勢が本格参入すると再び買い優勢に。イスラエルと中東イスラム諸国との対立激化により「産油国からの石油供給が不安定になるのではないか」との懸念が高まった。引け後の時間外取引でも強含み、90ドル台に乗せている。

・金先物相場は3日続伸。中東情勢の緊迫感は高まったままであり、地政学リスクを意識した安全資産の金買いが続いた。パウエルFRB議長の発言で長期金利は上昇したものの、金相場は底堅さを確認するに留まった。場中では1984ドル台まで上昇し、引け後の時間外でも上値を伸ばして8月初旬以来の高値を更新している。

(中村)
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