NYマーケットダイジェスト・29日 株失速・金利低下・円高

(29日終値)
ドル・円相場:1ドル=147.24円(前営業日比▲0.24円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=161.52円(▲0.60円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0969ドル(▲0.0024ドル)
ダウ工業株30種平均:35430.42ドル(△13.44ドル)
ナスダック総合株価指数:14258.49(▲23.27)
10年物米国債利回り:4.25%(▲0.07%)
WTI原油先物1月限:1バレル=77.86ドル(△1.45ドル)
金先物2月限:1トロイオンス=2067.1ドル(△6.9ドル)

※△はプラス、▲はマイナスを表す。

(各市場の動き)
・ドル円は4日続落。アジア時間に一時146.67円と9月12日以来の安値まで売り込まれた反動で買い戻しが先行した。米商務省が発表した7-9月期米国内総生産(GDP)改定値が年率換算で前期比5.2%増と速報値の4.9%増から上方修正され、予想の5.0%増を上回ったことが伝わるとドル買いが加速。23時過ぎに一時147.90円と日通し高値を付けた。
 ただ、節目の148.00円には届かなかった。米経済活動の3分の2超を占める個人消費が3.6%増と予想の4.0%増を下回ったほか、米連邦準備理事会(FRB)が物価の目安として注目する食料とエネルギーを除くコア個人消費支出(PCE)指数が2.3%上昇と予想の2.4%上昇を下回ったことが相場の重しとなった。米国で利上げ局面が終了したとの見方が広がる中、戻りを売りたい向きも多く、4時過ぎには147.08円付近まで下押しした。
 なお、FRBがこの日公表した米地区連銀経済報告(ベージュブック)では「米経済活動は前回の報告書以降減速した」との認識が示されたほか、物価上昇については「地区全体でほぼ緩やかになったが、依然として高止まりしている」、労働需要については「引き続き緩和した」と伝わった。

・ユーロドルは5日ぶりに反落。アジア時間に一時1.1017ドルと8月10日以来の高値を更新したあとだけに、欧米市場では利食い売りなどが出た。11月独消費者物価指数(CPI)速報値が予想を下回ったことで、欧州のインフレ鈍化を意識したユーロ売りも出た。米GDP改定値の上振れを受けてドル買いが強まると、一時1.0960ドルと日通し安値を更新した。
 もっとも、米国での早期利下げを見込むユーロ買い・ドル売りが入ると、1.0995ドル付近まで下げ渋った。
 なお、バーキン米リッチモンド連銀総裁は「追加利上げの可能性を排除するつもりはない」「利下げについて議論するのは時期尚早」などと述べたほか、メスター米クリーブランド連銀総裁は「今後のデータ評価する上で政策は良い位置にある」「さらなる利上げが必要かどうかは経済状況次第」などと語った。

・ユーロ円は3日続落。21時30分過ぎに一時本日高値となる162.25円まで値を上げたものの、買い一巡後は徐々に上値を切り下げた。取引終了間際には161.49円と本日安値を更新した。

・米国株式市場でダウ工業株30種平均は小幅ながら続伸。米国の利上げ局面が終了するとの観測が一段と強まる中、米長期金利が低下すると、株式の相対的な割高感が和らいだ。市場では「米利上げ局面の終了や来年以降の利下げの可能性が意識された」との声も聞かれ、一時160ドル超上昇した。ただ、バーキン米リッチモンド連銀総裁が「追加利上げの可能性を排除するつもりはない」「利下げについて議論するのは時期尚早」などと述べたと伝わると、伸び悩んだ。
 一方、ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は反落。高く始まったものの、7月に付けた年初来高値に接近すると利食い売りなどが優勢となり下げに転じた。

・米国債券相場で長期ゾーンは3日続伸。FRBの利上げ局面の終了や来年以降の利下げの可能性が意識される中、この日も買いが続いた。

・原油先物相場は続伸。米エネルギー省(EIA)週間石油在庫の発表を前に売りが強まった。しかし原油在庫の積み増し継続確認後は次第に戻した。30日開催予定の石油輸出国機構(OPEC)ほか主要産油国で構成される枠組みOPECプラスの会合を控えるなか思惑を背景とした買いが入りやすかった。

・金先物相場は4日続伸。昨日のウォラーFRB理事による「インフレ率がさらに数カ月間低下し続ければ、政策金利を引き下げる根拠は十分にある」などの発言を受けた米金利低下が引き続き支援材料。金利がつかない資産である金の相対的な投資妙味の高まりが底堅さにつながった。


(中村)
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