東京為替見通し=年末控えドル円気迷い相場継続、市場けん引は豪ドルになるか

 海外市場ではドル円は、10月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数が市場予想を下回る結果となったことを受け、米長期金利の低下とともに一時146.57円まで下押ししたが、一巡後は下値を切り上げる展開に。米金利はその後も低下基調を維持したが、対欧州通貨などでドルの買い戻しが進んだ影響から、147.39円まで本日高値を更新した。ユーロドルは、全般にドル買いが進んだ流れに沿って、1.0778ドルまで弱含んだ。

 本日のドル円相場も方向感を示せず気迷い相場が続きそうだ。昨日のアジア・欧州時間は動意づけるようなニュースなどがないにもかかわらず、上下を繰り返す米金利の動向に追随する相場となった。しかし、NY勢参入後は米金利が低下基調を維持したのにもかかわらず、ドル買いが進むなど方向の一貫性がなくなってきている。

 この要因としては、12月に入り年末相場になり、市場関係者がリスクを持つことを嫌気し、顧客の来た球を右から左に捌くことでファンダメンタルズを無視した流れになっていること。また、来週に主要中央銀行(日・米・欧州・英・スイス)の政策決定会合が開かれることで、結果公表まではトレンドがつかめないこともあげられる。このような環境下で、昨日とほぼ同水準に戻ってきているドル円相場は、よほどのサプライズとなるニュースが出ない限りは、昨日のレンジの中を行ったり来たりの相場展開にしかならないだろう。

 ドル円が明確なトレンドを作りにくい中で、昨日市場をけん引したのが豪ドルだが、本日も同様に豪ドル相場の動きには要警戒となる。昨日は豪準備銀行(RBA)が市場予想通りに政策金利を据え置き、声明文もこれまでの流れを踏襲した。しかし、詳細を読むと「サービスのインフレが低下している」「生産性の伸びが回復すれば、賃金の伸びはこれ以上大きくは伸びない」と記し、タカ派路線を抑えた論調になった。豪金利は低下し、欧米同様に金融引き締め打ち止め感が出た動きになり、豪ドル安が進んでいる。この中で、本日は7-9月期の豪国内総生産(GDP)が発表されることで、市場予想(前期比0.4%/前年比1.8%)より悪化したネガティブサプライズに反応が敏感になりそうだ。昨日のトレンドを引き継ぎ更に豪ドル安・ドル高となった場合は、他通貨にも影響を及ぼすことになる。

(松井)
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