東京為替見通し=ドル円、上値が重い展開か 日銀会合への警戒感から

 15日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、ウィリアムズ米NY連銀総裁発言で142.45円付近まで上昇。その後に141.43円まで下落するも、ボスティック米アトランタ連銀総裁発言で142.31円付近まで反発した。ユーロドルは低調なユーロ圏の12月製造業・サービス部門PMI速報値やNY連銀総裁のタカ派発言などで1.0889ドルまで下落した。ユーロ円は154.41円まで下落した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、本日から明日にかけて開催される日銀金融政策決定会合への警戒感から上値が重い展開が予想される。

 植田日銀総裁が7日の参院財政金融委員会での答弁で、年末から来年にかけて一段と慎重な金融政策運営が求められるとの認識を示したことで、本日からの日銀金融政策決定会合への警戒感が高まっている。植田総裁は4月の就任以降の金融政策運営は、さまざまな不確実性が高い状況の下で「チャレンジングな状況が続いているが、年末から来年にかけて一段とチャレンジングな状況になる。丁寧な説明、適切な政策に努めていきたい」と語った。そして、「物価目標達成の見通しが立つようになれば、マイナス金利の解除、イールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)のフレームワークの見直しが視野に入ってくる」と述べた。

 12月調査の日銀短観では、大企業・製造業の業況判断指数(DI)が+12と3期連続で改善。2022年3月以来の高水準となり、全般に好調な経済活動が展開されていることを示す結果だった。雇用人員判断は、大企業製造業が-16、大企業非製造業が-37と人手不足感の強まりが維持されており、人材確保を優先にした企業が賃上げに積極的な対応を取る可能性が高まっている状況が示されている。すなわち、2%超の消費者物価指数(CPI)上昇を安定的・持続的に維持することが展望できるというマイナス金利解除に向けた条件が整いつつあることが示された。

 先週の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジ5.25-5.50%を、3会合連続で据え置くことを全会一致で決定した。そして、2024年に3回(x0.25%=0.75%)にわたって金利を引き下げるとの見通しを示し、積極的な利上げキャンペーンが終了したとのシグナルをこれまでで最も明確に発した。
 さらに、パウエルFRB議長は「利下げは視野に入り始めており、今回のFOMC会合でも議論した」と述べている。

 CMEグループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、来年3月のFOMCで0.25%の利下げが開始され、6回の利下げで12月にはFF金利誘導目標が3.75-4.00%まで引き下げられることが見込まれている。しかし、先週末は、ウィリアムズ米NY連銀総裁とボスティック米アトランタ連銀総裁が早期の利下げ観測を牽制する発言をしており、今後もFRB高官の発言には警戒しておきたい。


(山下)
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