東京為替見通し=ドル円、明日の春闘の第1次集計結果を控えて上値が重い展開か

 13日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、日本時間夕刻の高値148.05円から147.46円付近まで下押ししたものの、米10年債利回りが4.19%台まで上昇したことで底堅く推移した。ユーロドルは1.0964ドルから1.0946ドル付近まで上値を切り下げた。ユーロ円は161.95円まで上昇した後、161円台後半でのもみ合いとなった。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、昨日の春闘での満額回答が相次いだことで、明日公表される春闘の第1次集計結果への警戒感が高まっているため、上値が重い展開が予想される。

 18-19日の日銀金融政策決定会合では、2024年の賃上げ率は昨年を上回る見通しで、日銀の2%の物価目標を安定的に達成できる確度が高まりつつあることで、マイナス金利の解除の是非についてより踏み込んだ議論を行う公算が大きくなっている。

 注目ポイントは、マイナス金利が解除された後、内田日銀副総裁が示唆したように、緩和的な金融環境が維持されていくのか、それとも、植田日銀総裁の発言「デフレではなくインフレの状態」に示唆されるように、インフレ目標2%に向けた利上げというパラダイムシフトになるのか、となる。

 ドル円は、2月の米消費者物価指数(CPI)を受けた米10年債利回りの上昇などで、12日には148.12円、昨日は148.05円まで上昇しており、今夜の2月の米卸売物価指数(PPI)、そして明日の春闘の第1次集計結果を見極める展開となっている。

 シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%の利下げ開始確率が58%程度、そして年内の利下げ回数は3回(×▲0.25%=4.50-75%)となっている。すなわち、これまでは6回の利下げ(×▲0.25%=3.75-00%)を予想していたが、現状は、12月のFOMCでのドット・プロット(金利予測分布図)に示された3回まで減少しており、ドル円の下げ止まり要因となっている。

 昨日は、大手企業の多くが労働組合の賃上げ要求に対して満額回答したことで、企業全体の最終的な賃上げ率は、4%を上回るとの見方が出ている。試算によると、3.6%の賃上げで実質賃金がプラスになるとのことで、今年の実質賃金はプラスに浮上する可能性が高まっている。

 植田日銀総裁は、昨日午後の参院予算委員会で、賃金と物価の好循環の見極めについて、企業から今後も表明されていく賃上げの回答結果や、その他のデータ、様々なヒアリング情報を総合的に点検した上で適切に判断していきたい、と述べたものの、満額回答が相次いだ春闘への評価は述べなかった。

 また、日本銀行は2%物価目標の実現が見通せ、政策正常化に踏み出す段階で、2010年以来続けてきた上場投資信託(ETF)の新規買い入れの完全停止を検討する、と報じられており、株式市場の動向には要警戒となる。

(山下)
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