東京為替見通し=ドル円、152円の攻防戦と円買い介入の可能性に要警戒か

 1日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、予想を上回った3月米ISM製造業景況指数50.3を受けて米10年債利回りが4.33%台まで上昇したことで151.77円まで上昇した。ユーロドルは米長期金利の上昇とともに1.0731ドルまで下落した。ユーロ円は、ユーロドルの下落やダウ平均の下落に伴うリスク回避の円買いで162.79円まで下落した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、米10年債利回りが4.33%台まで上昇していることを背景にした152円のノックアウトオプションへの買い仕掛けと防戦売り、そして本邦通貨当局のドル売り・円買い介入の可能性に警戒する展開が予想される。

 昨日発表された3月米ISM製造業景況指数は50.3と予想の48.4や2月の47.8を上回り、ドルインデックスを105.08まで、米10年債利回りを4.33%台まで押し上げた。雇用指数は47.4と2月の45.9から改善して、今週末に発表される3月米雇用統計への期待感を高まらせ、価格指数は55.8と2月の52.5から上昇して、6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ開始確率を低下させている。

 ドル円は、先週、1990年以来の高値となる151.97円まで上昇した後、三者会合(財務省・日銀・金融庁)が開催され、神田財務官が為替介入について「常に準備はできている」と述べたことで、円買い介入への警戒感が高まっている。

 2022年9月22日のドル売り・円買い介入の前も、9月7日に144.99円まで上昇した後の9月8日に三者会合が開催され、神田財務官が「(為替介入などの対応は)スタンバイな状態だ」と警告していた。さらに、日銀が大規模緩和の見直しを決定した後の円安の動きは「反対方向という意味で強い違和感を持っている」とも述べている。
 おそらく、145円台に乗せた場合には円買い介入を行うことが話し合われ、22日の145円台乗せでの円買い介入となったことが推測できるため、今回も152円台に乗せた場合の円買い介入の可能性には警戒しておきたい。

 本邦通貨当局による過去の介入では、ストップロスが観測されている水準でストップロスの執行を待ってから介入が行われるパターンが見受けられた。
 本日も、152円のノックアウトオプションへの買い仕掛けが成功した後での円買い介入の可能性に警戒しておきたい。

 9時30分に発表される3月豪準備銀行(RBA)理事会議事要旨では、声明文やブロックRBA総裁の発言になかったサプライズ、すなわち、利上げあるいは利下げ支持への見解に警戒しておきたい。
 声明文では「最近のデータはインフレが緩和していることを示しているものの、依然として高水準」、ブロックRBA総裁は「利下げ検討にはインフレ率低下へのより強い確信が必要」と述べていた。


(山下)
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