NY為替見通し=日米韓財務相会合控え積極的な円売りは難しいか

 本日のNY市場では、円を積極的に買い上げる地合いではないものの、日米韓の財務相会合を控え積極的に円売りを仕掛けるのは難しいか。

 昨日、鈴木財務相と韓国の崔企画財政相が「最近の自国通貨安に深刻な懸念」と述べた。本日行われる日米韓の財務相会合は「ロシアや北朝鮮に対する制裁のほか、太平洋諸島諸国への支援などについて協議する」と、通貨安は主要トピックとはなっていない。しかしながら、日韓が自国通貨安を阻止する手立てがなくなりつつある中で、両国にとっては米国からの通貨安に対する支援を受けたい状況下にある。また、バイデン米大統領政権にとっても、ウクライナ支援を含め日韓の支持を得るために一定のドル高懸念に理解を示す可能性もある。日韓と米国との金融政策の方向性の違いや、経済状況を考えるとドル高の流れを変えるのは難しいが、イベントリスクもあることで市場が敢えて155円台をトライするのは本日に限っては難しいか。

 経済指標では、米国からはMBA住宅ローン申請指数、2月対米証券投資動向などが発表されるが、市場を動意づけるのは難しいだろう。ただし、米地区連銀経済報告(ベージュブック)が発表されることで、内容次第ではドルが動意づく可能性もあることには留意したい。3月のベージュブックでは、物価圧力は続いているものの、いくつかの地区ではインフレがある程度緩和されたと報告されている。しかしながら、その後のインフレ指標では市場予想を上回りインフレが高止まりしている。市場は米連邦準備理事会(FRB)の利下げ開始の後ずれ観測が高まっていることで、インフレに対して警戒するような内容が示された場合には、ドル買いに敏感に反応しそうだ。

・想定レンジ上限
 ドル円は、節目の155.00円、その上は1990年6月26日高値155.45円。

・想定レンジ下限
 ドル円は、昨日16日の安値で5日移動平均線も位置する154.04円。その下は15日の欧州時間の安値153.70円。


(松井)
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