ロンドン為替見通し=ユーロ円、年初来高値を睨む動き 欧州PMIに注目

 本日のロンドン為替市場でユーロは、4月製造業・サービス部門購買担当者景気指数(PMI、速報値)で欧州景況感を確認しながらの取引となりそうだ。米金利の影響を受けやすい対ドルは1.06ドル台で方向感がやや定まらない感じだが、対円については結果次第であっさりと年初来高値を更新する可能性もあるか。

 イスラエルとイラン両方が報復攻撃の応酬を避ける姿勢を見せているため、先週末に一時急速に高まった中東の地政学リスクに対する警戒感は後退している。株式市場にも資金が戻り、欧州株はイタリアを除いて上昇して終えた。そういったなか発表される仏・独・ユーロ圏のPMIは総じて前回から改善見込み。もし上振れ幅が広がるようであれば、リスク志向の動きが加速することになりそうだ。

 執筆時点でユーロ円の年初来高値は3月20日につけた165.35円。そこからの下押し幅も3円程度に留まり、イスラエルのイラン攻撃で一時円高が進んだ先週19日も結局は長い下ヒゲを作って終えた。下値の堅さは確認されており、上向きバイアスが強まっている。

 注意すべきは、約34年ぶりの高値を更新し続けているドル円の動きだろう。円安進行を受けて円買い介入への警戒感が高まっているのは確か。週後半には日銀会合を控えているため、大規模な為替介入はできないという見方もあるが、一気に円安が進んだ場合には注意が必要だろう。また、「介入もどき」もあり得ることは念頭に入れておきたい。

 英国からも、4月製造業・サービス部門PMI速報値が発表予定。どちらも景況判断の境目となる50を上回る見込みだが、サービス部門は53.0と水準は高いものの前回から低下が予想されている。昨日は英国の主要株指数・FTSE100が史上最高値を更新した。PMIの結果を受けた同指数の反応が注目され、ポンド円もその動きに影響されるだろう。

 ほか、南アフリカ準備銀行(SARB)が金融政策レビューを公表する。政策プロセスの透明・明確化を目的としたレビューは直近よりも先行きを見据えた内容とされ、今後の政策運営の方向性が示される。先日クガニャゴSARB総裁が言及した「インフレ見通しの上振れリスク」の程度を見極めることになりそうだ。


 想定レンジ上限
・ユーロ円、ピボット・ターニングポイントの165.95円
・ポンド円、ピボット・レジスタンス2の192.46円
・ランド円、9日高値(年初来高値)8.24円

想定レンジ下限
・ユーロ円、21日移動平均線164.16円
・ポンド円、日足一目均衡表・雲の上限190.07円
・ランド円、19日安値7.93円

(小針)
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