東京為替見通し=ドル円、円買い介入への警戒感から上値が重い展開か
3日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、4月米非農業部門雇用者数(前月比+17.5万人)や失業率(3.9%)、平均時給(前月比+0.2%/前年比+3.9%)を受けて、米連邦準備理事会(FRB)による利下げ開始が先送りになるとの観測が後退したことで米長期金利の低下とともに151.86円まで下落した。その後、4月米ISM非製造業景況指数での仕入れ価格指数59.2を受けて、153.07円付近まで反発した。ユーロドルは米4月雇用統計を受けて1.0811ドルまで上昇後、ISM非製造業価格指数を受けて1.0752ドル付近まで下押しした。
本日のアジア外国為替市場のドル円は、東京市場が休場のため動きづらい展開が予想される中、米10年債利回りの低下や本邦通貨当局による電撃的なドル売り・円買い介入への警戒感から上値が重い展開が予想される。
4月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数の増加ペース鈍化、失業率の上昇、平均時給の鈍化など労働市場の逼迫緩和を示した。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」での利下げ開始は、9月FOMCとなり、12月FOMCでも利下げが見込まれて、FF金利誘導目標は4.75-5.00%まで低下することが見込まれている。
ドル買いの要因だった米10年債利回りは、4月26日の4.71%台から先週末には一時4.44%台まで低下しており、ドルの上値を抑えつつある。
先週のドル円は、4月29日(月曜日)には、160.17円まで上昇して1990年4月以来34年ぶりの高値に到達した後、本邦通貨当局による円買い覆面介入(※推定5.5兆円程度)により154.54円まで反落した。
5月2日の未明には、本邦通貨当局による円買い覆面介入(※推定3.5兆円程度)により153.04円まで反落した。
本邦通貨当局は、東京市場が休場や早朝の5時台などの閑散取引時を狙って、円の押し上げ介入を行っており、本日も東京市場が休場の閑散取引の中で警戒しておきたい。
本邦通貨当局がすぐに円転できる外貨準備高の外貨預金は、3月末で1550億ドル(@155円=約24兆円)だった。4月29日の覆面介入では5.5兆円規模、5月2日早朝の覆面介入で3.5兆円程度を使ったとすれば、15兆円程度の余力が残されている。
しかし、2022年秋の円買い介入の時は、外貨預金ではなく、米国債を売却しており、短期債の売却ならば、50-60兆円程度の円買い介入の余力があることになる。
3月末の保有証券は9948億ドル(@155円=154兆円)となっていたが、今週末に発表される4月末の外貨準備高の減少額に要注目となる。
4月30日時点のIMM通貨先物の非商業(投機)部門取組のネットの円売り持ちポジションは168388枚だったが、5月3日に151円台後半まで下落したことで、減っていると思われるが、依然として円の先安観から史上最大規模の円売り持ちポジションが堅持されていると思われる。
本邦通貨当局による円押し上げ介入の狙いが、ドル円の155-160円の円安水準を抑えるだけなのか、それとも2022年秋のように150円台を抑えようとしているのか、見極めていくことになる。
(山下)
本日のアジア外国為替市場のドル円は、東京市場が休場のため動きづらい展開が予想される中、米10年債利回りの低下や本邦通貨当局による電撃的なドル売り・円買い介入への警戒感から上値が重い展開が予想される。
4月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数の増加ペース鈍化、失業率の上昇、平均時給の鈍化など労働市場の逼迫緩和を示した。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」での利下げ開始は、9月FOMCとなり、12月FOMCでも利下げが見込まれて、FF金利誘導目標は4.75-5.00%まで低下することが見込まれている。
ドル買いの要因だった米10年債利回りは、4月26日の4.71%台から先週末には一時4.44%台まで低下しており、ドルの上値を抑えつつある。
先週のドル円は、4月29日(月曜日)には、160.17円まで上昇して1990年4月以来34年ぶりの高値に到達した後、本邦通貨当局による円買い覆面介入(※推定5.5兆円程度)により154.54円まで反落した。
5月2日の未明には、本邦通貨当局による円買い覆面介入(※推定3.5兆円程度)により153.04円まで反落した。
本邦通貨当局は、東京市場が休場や早朝の5時台などの閑散取引時を狙って、円の押し上げ介入を行っており、本日も東京市場が休場の閑散取引の中で警戒しておきたい。
本邦通貨当局がすぐに円転できる外貨準備高の外貨預金は、3月末で1550億ドル(@155円=約24兆円)だった。4月29日の覆面介入では5.5兆円規模、5月2日早朝の覆面介入で3.5兆円程度を使ったとすれば、15兆円程度の余力が残されている。
しかし、2022年秋の円買い介入の時は、外貨預金ではなく、米国債を売却しており、短期債の売却ならば、50-60兆円程度の円買い介入の余力があることになる。
3月末の保有証券は9948億ドル(@155円=154兆円)となっていたが、今週末に発表される4月末の外貨準備高の減少額に要注目となる。
4月30日時点のIMM通貨先物の非商業(投機)部門取組のネットの円売り持ちポジションは168388枚だったが、5月3日に151円台後半まで下落したことで、減っていると思われるが、依然として円の先安観から史上最大規模の円売り持ちポジションが堅持されていると思われる。
本邦通貨当局による円押し上げ介入の狙いが、ドル円の155-160円の円安水準を抑えるだけなのか、それとも2022年秋のように150円台を抑えようとしているのか、見極めていくことになる。
(山下)