東京為替見通し=ドル円の上値トライは一服、RBNZはタカ派的据え置きか

 昨日の海外市場でドル円は、アジア時間に付けた日通し高値156.55円が目先レジスタンスとして意識されると失速し、155.85円まで弱含んだ。しかし、押し目を拾いたい向きは多く156.25円付近まで下げ渋った。ユーロドルは1.0875ドルまで上昇するものの、1.0843ドルまでじり安になった。

 本日のドル円相場は156円を挟んでもみ合いとなるか。中長期的な円安地合いは継続されそうだが、156円半ばから後半の重さを連日確認したこともあり、積極的なドル買い・円売りを仕掛けるのも難しくなっている。

 3日の米雇用統計後に下落したドル円は、その後は買い戻しが優勢となった。しかし、14日に156.74円、15日に156.56円で上値が抑えられた。そして、先週15日に4月の米消費者物価指数(CPI)が発表されて再びドルが弱含んだ後の買い戻しが、20日の156.30円、昨日の156.55円で上値が抑えられた。本日も本邦から主だった経済指標の発表予定がないことや、米国からも住宅関連指標以外の主要経済指標の発表予定がないことで、材料不足の中でドル円が敢えて上値をトライしていくのは難しいだろう。

 もっとも、ドル円が大きく崩れるのが難しいのは、ここ最近は米連邦準備理事会(FRB)高官のほぼ全員が、口裏合わせたかのように今後のインフレ低下や早期利下げに慎重な見方を示していることだ。昨日もウォラーFRB理事が「利下げには良好なインフレがあと数カ月必要」と述べ、今月に入って発表された雇用統計やCPIだけでは判断がまだ不足しているとの見解を示した。また、今年の米連邦公開市場委員会(FOMC)の投票権を有するボスティック米アトランタ連銀総裁は「第4四半期前の利下げはないだろう」と発言し、市場が期待する9月の最初の利下げを否定している。連日本邦の長期金利は11年ぶりの水準まで上昇しているが、日銀の利上げ期待がより高まったとしても、本邦経済のファンダメンタルズの弱さを考えると利上げ幅が大きくなることは考えにくく、米国の利下げまではドル円が売りトレンドになるのは難しそうだ。

 ドル円の大きな動きを期待するのは難しいだろうが、本日はNZドルがボラタイルな動きになるだろう。日本時間11時には、NZ準備銀行(RBNZ)の金融政策委員会(MPC)が政策金利を発表する。政策金利は5.50%の据え置き予想となっているが、注目は同時に発表される声明文と、政策金利発表後に行われるオアRBNZ総裁の会見になる。先月までは景気減速が続いていることで、タカ派的据え置きが転換するのではとの予想もあった。しかし、最近はインフレの低下が鈍っていることで、利下げなどについて示唆するのは時期尚早との予想が高まり、これまで通りのタカ派的据え置き予想となっている。
 
 なお、欧州入り後すぐに英国からCPIが発表されることで、欧州入りの時間帯もポンドがボラタイルに動きそうだ。


(松井)
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