東京為替見通し=ドル円、円買い介入の可能性や神田財務官の人事発表に要警戒か

 26日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米長期金利の上昇に伴うドル買いで160.87円と1986年12月以来約37年半ぶりの高値を付けた。神田財務官が円買い介入ではなく、円安を牽制する口先介入に留まったことも円売りを加速させた。ユーロドルは米長期金利の上昇に伴うドル買いで1.0666ドルまで下落した。ユーロ円は、全般円売りが優勢になったことで171.80円と1999年のユーロ導入以来の高値を更新した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、1986年以来の高値圏に到達していることで本邦通貨当局のドル売り・円買い介入の可能性に警戒しながら、神田財務官の退任人事の発表にも注目しておきたい。

 ドル円は、今年4月29日の高値160.17円や1990年4月の高値160.20円(※ブローカー経由では160.35円)を上抜けて、1985年9月のプラザ合意を受けた240円台から120円台までのドル下落途上の1986年12月の水準160.80円台まで上昇している。

 昨日のニューヨーク市場では、神田財務官は円買い介入に踏み切ることなく、円安を牽制する口先介入、「為替の足もとの動きは急激。行き過ぎた動きには必要な対応をとっていく。高い警戒感を持って市場の動向を注視している」に留まっており、本日の東京市場での円買い介入の有無に警戒しておきたい。

 本邦通貨当局による円買い介入の目安としては、神田財務官が警戒するボラティリティーの上昇を示すボリンジャー・バンド+2σの161.04円、「神田ライン」(過去28日間の安値から10円上昇)の164.55円(154.55円+10円)などが挙げられる。

 また、1年前の昨年6月27日に神田財務官の続投人事が発表されており、本日は神田財務官退官の人事が発表される可能性があることで、円の守護神である神田財務官が退場することで円売りに拍車がかかる可能性には警戒しておきたい。

 ドル売り・円買い介入を指揮した財務官は、1985年9月のプラザ合意を受けた大場財務官、1991年の千野財務官、1998年のアジア・日本の金融危機を受けた榊原財務官、そして現在の神田財務官の4名だけなので、来月からは第27代財務官(市場の噂では三村国際局長が昇格)の市場への対応に要注目となる。

 ドル円の上昇にブレーキがかかる材料としては、明日28日に発表される米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視している米5月PCEデフレーターが前年比+2.6%と予想されており、4月の同比+2.7%からの伸び率鈍化が見込まれていることが挙げられる。    
 また、週末のフランス総選挙を受けた政局不安がリスク回避の円買いに繋がる可能性にも警戒しておきたい。


(山下)
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