東京為替見通し=ドル円、5・10日(ゴトー日)の円売りと円買い介入の可能性に要警戒か

 24日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、欧州市場で158.82円まで下落した後、159.76円付近まで下げ渋った。ユーロドルは欧州株相場の上昇を背景に1.0746ドルまで上昇。ユーロ円は、欧州市場で170.33円まで下落後、欧州株相場の上昇を背景に171.45円まで上昇した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、5・10日(ゴトー日)の円売りに対して本邦通貨当局がドル売り・円買い介入に踏み切るのか否かに注目する展開となる。
 神田財務官による円買い介入の目安であるドル円のボリンジャー・バンド+2σは160.00円前後、過去28日間の安値から10円上昇という「神田ライン」は163.00円前後に位置している。

 需給面では、本日25日は5・10日(ゴトー日)、明日26日はスポット取引の決済日が月末最終営業日(28日)、そして28日には月末と四半期末を迎えることで、需給主導で160円台に乗せる可能性が高まっている。

 ドル円は、本邦通貨当局のレッドラインと見なされている160円の手前で、21日は159.84円、24日は159.92円までで伸び悩む展開となっている。
 ドル円の160円がレッドラインと見なされている背景には、4月29日に160.17円まで上昇した後に本邦通貨当局がドル売り・円買い介入に踏み切ったことが挙げられる。

 順張りに取り組む海外投機筋は、IMM通貨先物の非商業(投機)に現れているように、円売り持ちポジション(※6/18時点:147753枚)を積み上げており、逆張りに取り組む外国為替証拠金取引(FX)投資家は、円買い持ちポジションを積み上げている。
 しかし、1-5月の国内の投資信託運用会社などによる海外投資(※新NISA)は5.6兆円超の買い越しとなっており、投資の円売り、投機の円買いに分かれている。

 152円の第1関門は、海外投機筋が勝利したが、160円の第2関門では、初戦はFX投資家が勝利したものの、現状の2回戦は神田財務官の進退にかかっていると思われる。
 2022年秋(9兆1880億円)と2024年春(9兆7885億円)の過去最大規模の円買い介入の陣頭指揮を執ってきた神田財務官は、異例ともいえる3年の任期を終えて退官する予定となっている。
 3年目の続投人事は、昨年2023年6月27日に発表されたが、今週27日頃に退官の人事が発表された場合、円の守護神が退場することで、円売り圧力が強まる可能性に警戒しておきたい。

 ドル円の上値を抑える要因としては、28日に発表される米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視している米5月PCEデフレーターの伸び率鈍化が見込まれていることやフランスの政局不安がリスク回避の円買いに繋がる可能性などが挙げられる。

(山下)
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