ニューヨーク外国為替市場概況・31日 ドル円、大幅続落

 31日のニューヨーク外国為替市場でドル円は大幅に続落。終値は149.98円と前営業日NY終値(152.77円)と比べて2円79銭程度のドル安水準だった。植田和男日銀総裁の会見をきっかけに、日銀による金融政策の正常化が今後さらに進むとの観測が高まると全般円買いが先行。7月ADP全米雇用報告や4-6月期米雇用コスト指数が予想より弱い内容だったことが分かるとドル売りも優勢となり、23時過ぎに一時149.64円まで値を下げた。そのあとは米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えたポジション調整目的の買いなどが入り、FOMC結果公表直後には151.26円付近まで下げ渋る場面もあったが、戻りは非常に鈍かった。
 FOMCはこの日、市場予想通り政策金利を5.25-5.50%で据え置くことを決めたと発表。声明では「インフレ目標に向けてのさらなる進展がみられた」「経済の見通しは不確実で、委員会は二つの責務の両サイドに対するリスクを大いに注視している」との見解が示された。また、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は会見で「FOMCは利下げに近づいているという感触を得ている」「9月FOMCで利下げが選択肢になる可能性ある」と述べ、9月利下げの可能性に言及した。市場では米金利の低下とドル売りが優勢となり、4時30分過ぎに一時149.61円と3月19日以来約4カ月ぶりの安値を付けた。
 なお、米10年債利回りは4.0296%前後と2月2日以来の低水準を記録した。

 ユーロドルは3営業日ぶりに小反発。終値は1.0826ドルと前営業日NY終値(1.0815ドル)と比べて0.0011ドル程度のユーロ高水準だった。欧州時間発表の7月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値が予想を上回ったことが分かるとユーロ買い・ドル売りが先行。予想を下回る米経済指標を受けて全般ドル売りが強まると一時1.0849ドルと日通し高値を付けた。
 ただ、そのあとは米重要イベントを控えたポジション調整目的のユーロ売り・ドル買いが進行。FOMC直後には一時1.0802ドルと日通し安値を更新した。
 もっとも、パウエルFRB議長の会見を受けて米金利の低下とドル売りが優勢になると、1.0833ドル付近まで持ち直している。

 ユーロ円は大幅に4日続落。終値は162.36円と前営業日NY終値(165.25円)と比べて2円89銭程度のユーロ安水準。ドル円とユーロドルの値動きの影響を同時に受けたため、しばらくは方向感が出なかったものの、引けにかけて弱含んだ。日銀の追加利上げ観測を背景に全般円買いが入りやすい地合いとなる中、4時30分過ぎに一時162.02円と3月18日以来約4カ月ぶりの安値を更新した。

本日の参考レンジ
ドル円:149.61円 - 153.88円
ユーロドル:1.0802ドル - 1.0849ドル
ユーロ円:162.02円 - 166.53円

(中村)
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