NY為替見通し=過剰期待気味だがパウエルFRB議長の基調講演次第は変わらずか

 衆院財務金融委員会での植田日銀総裁への質疑応答は、なんとも歯切れの悪い回答が継続したことで、やや売りが優勢となる場面もあったが市場の反応は限られた。市場の間では応答よりも質疑の質が悪いことで、核心部分にも振れることもできず、植田日銀総裁よりも質問者に対する非難の声が多かった。

 本日のNY市場でのドル円の値動きは、カンザスシティー連銀主催の年次シンポジウム(通称・ジャクソンホール会合)でのパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の基調講演次第になるだろう。先週から市場では今回の会合での講演に注目が集まっている。やや過熱気味なほどでもあることで、植田日銀総裁同様に肩透かしを食らう可能性もあるが、やはり警戒は怠れない。

 今週21日に発表された7月30日-31日分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では「大多数の当局者は9月の利下げは適切とみている」「数人の当局者が7月会合で利下げの論拠を指摘」などの見解が伝わり、ドル売りが優勢となった。パウエル議長は、FOMC後の会見で「9月までの間に多くのデータが得られる」と述べたが、FOMC後の経済指標では7月の雇用統計は弱かったが、同月消費者物価指数(CPI)はほぼ予想通りとなるなど、7月末からはあまり変わらない経済環境下ということもあり、FOMCの見解から大きく変わっていない可能性がある。
 仮に見解が変わらない場合の市場の判断は難しい。上述のように「利下げが適切」などの文言の場合は素直にドルが売られるだろう、一方昨日FOMC後のパウエルFRB議長と同じように、シュミッド米カンザスシティ連銀総裁が「利下げを支持する前に、さらなるデータを見る必要がある」と発言すると、ややドル買いに反応した。市場参加者の中でもAIが文言を読み取り自動的に売買を行う取引が、これらの文言に過剰に反応するリスクがありそうだ。


・想定レンジ上限
 ドル円は、21日高値146.77円。上抜けると20日高値147.35円。
 
・想定レンジ下限
 ドル円は、21日安値144.46円。割り込むと6日安値143.63円。


(松井)
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