週間為替展望(豪ドル/ZAR)-豪ドル、対ドルで年初来高値更新も

◆豪ドル、インフレ指標の予想比上振れが支えに
◆豪ドル、GDPが予想を上回れば対ドルでは年初来高値更新も
◆ZAR、BER公表予定の7-9月期企業信頼感とインフレ予想に注目

予想レンジ
豪ドル円 96.00-102.00円
南ア・ランド円 7.90-8.30円

9月2日週の展望
 豪ドルは堅調地合いを維持しそうだ。先週、カンザスシティー連銀主催の経済シンポジウム(ジャクソンホール会合)で、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が「米金融政策が転換点を迎えた」との見解を強調したことを受けて、豪ドルは対ドルで堅調推移となっている。

 今週発表された7月の豪消費者物価指数(CPI)は前回の3.8%から3.5%へ低下したものの、市場予想の3.4%を上回り豪金利は上昇した。また、RBAが重要視しているトリム平均値も4.1%から下がったものの3.8%と依然として高い水準を維持。FRBが利下げに傾く中で、豪準備銀行(RBA)は依然として高インフレに悩まされている。利下げに舵を切るのは当面先になると予想されていることが豪ドルの支え。更に米金利低下により、今週はダウ平均が一時史上最高値を更新するなど、株上昇もリスク選好に敏感な豪ドルの支えになる。

 また、来週も豪ドル/NZドルの動きにも注目したい。今週発表された4-6月期豪民間設備投資はプラス予想に反してマイナスとなった反面、8月ニュージーランド(NZ)ANZ企業信頼感は強い結果。豪ドル/NZドルは6月中旬の水準まで一時下落した。ただ、4年ぶりにNZ準備銀行(RBNZ)が利下げを開始した一方、依然として豪金利は高止まりしている。買い場探しとなりそうだ。

 来週は豪州からは、9月2日に7月住宅許可件数、9月3日に4-6月期国際収支、9月4日に同期国内総生産(GDP)、9月5日に7月貿易収支が発表される。GDPが市場予想を上回った場合には、豪ドルは対ドルで更に上げ幅を拡大し、年初来高値を更新していく可能性が高まる。なお、9月5日にブロックRBA総裁の講演が予定されているが、思春期のうつ病と自殺に関する研究を支援するためのアニカ財団での講演。経済問題などに言及することはほぼないと思われる。

 南アフリカ・ランド(ZAR)は底堅く推移しそうだ。米金利の低下と堅調な株式市場の動きがZARを支え、対ドルでは今週も年初来高値に接近した。また、引き続き国民統一政府(GNU)への期待もZARの買い要因となっている。来週は9月3日に4-6月期GDP、9月5日に同期経常収支が発表される。ただ、GNUに対する評価は4-6月期の指標ではまだ現れない。指標に対する市場の反応は限られそうだ。むしろ、日程は定まっていないが、南ア経済研究所(BER)が9月上旬に7-9月期の企業信頼感とインフレ予想を発表する予定。こちらの結果からGNUに対する評価等が分かることになるため、市場への影響は大きくなるかもしれない。

8月26日週の回顧
 豪ドルは対ドルでは米金利の低下に支えられ、1月以来となる0.68ドル台まで強含んだ。豪ドル円はドル円が流動性の悪化で方向感ない動きとなったが、レンジは狭く97円台から98円台の間で上下した。ZARは対ドルでは米金利の低下や南ア経済への期待感の高まりで、一時年初来高値に迫った。ZAR円は上下の振幅を繰り返したが、レンジは限られたものだった。(了)
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