週間為替展望(豪ドル/ZAR)-豪ドル、日米金融政策に大きく左右

◆豪ドル、日米金融政策に大きく左右
◆豪ドル、物価統計に注目
◆ZAR、6月CPIは6カ月ぶりの水準まで伸び鈍化

予想レンジ
豪ドル円 97.00-104.00円
南ア・ランド円 8.00-8.60円

7月29日週の展望
 豪ドルは荒い値動きに注意が必要となりそうだ。30-31日に日米の金融政策決定会合が控えているが、市場では9月米連邦公開市場委員会(FOMC)からの利下げ開始をほぼ織り込んでいるほか、日銀については政府与党から利上げを求める声が相次いで伝わっており、日米の金融政策が期待通り、もしくは期待に反する結果となった場合のどちらとなっても、円・ドル相場は大きく動意づくことが予想される。豪ドルも対ドル・対円でともに振らされる可能性が高く、ポジション管理を徹底する必要があるだろう。

 特に対円ではこれまで円売りが続いた反動による調整が急ピッチで進み、11日につけた年初来高値109.37円からはすでに10円超の調整が入っている。日銀の追加利上げ観測などを手掛かりにした円買いも調整を後押しした面があるため、日銀金融政策決定会合を通過すると再び相場展開が大きく変化する可能性もありそうだ。

 また、来週は豪州の経済指標にも注目。31日に6月および4-6月期の消費者物価指数(CPI)、8月2日には4-6月期の卸売物価指数(PPI)が予定されている。豪州では足もとでインフレ再加速の兆候が見られており、5月のCPIは前年比4.0%の上昇と昨年11月以来の高水準を記録。豪準備銀行(RBA)のインフレ目標(2-3%)から遠ざかりつつある。RBAは前回の理事会でも利上げについて議論していたが、金利先物市場では利上げを織り込む動きはまだ進んでいない。来週の物価統計がさらにインフレ加速を示唆するような結果となれば、豪ドル相場にも相応のインパクトを与えるだろう。なお、その他では30日に6月住宅建設許可件数、31日に6月小売売上高、8月1日に4-6月期輸入物価指数や6月貿易収支の発表が予定されている。

 南アフリカ・ランド(ZAR)はさえない動きとなりそうだ。豪ドルと同じく日米の金融政策をにらみながらの展開となりそうだ。今週に公表された6月CPIは前年比5.1%の上昇となり、6カ月ぶりの水準まで鈍化。市場では9月19日に予定されている南アフリカ準備銀行(SARB)の次回金融政策決定委員会(MPC)で利下げ転換を予想する向きも増え始めた。SARBの金融緩和は景気低迷に悩む南アフリカにとってプラスとの見方もあるが、現在の為替市場の流れを考慮すれば追加利上げ期待の高まる日銀との金利差縮小を意識した円買い・ZAR売り圧力をより意識しておくべきだろう。

7月22日週の回顧
 豪ドルは対円を中心に売り優位。週明けからポジション解消目的の円買いが目立ったほか、日銀の追加利上げ観測も円買い・豪ドル売りを促した。中国人民銀行(中央銀行)が予想外の金利引き下げを決定するなど、中国経済の低迷に対する懸念が生じたことも同国と資源貿易関係の深い豪ドルの重しとなり、豪ドル円は4月22日以来の安値となる99.22円まで下押し。

 ZARも円全面高の流れに沿って、対円では一時6月7日以来の安値を更新した。
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