東京為替見通し=ドル円、米長期金利上昇や日経平均株価強含みで底堅い展開か

 30日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、7月米個人消費支出(PCE)価格指数(デフレーター)が前年比+2.5%と予想通りとなり、米10年債利回りが3.92%台まで上昇したことで、146.25円まで上昇した。ユーロドルは1.1044ドルまで下落。ユーロ円は日経平均先物の上昇に伴う買いなどで161.63円まで上昇した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、米10年債利回りが3.9%台に上昇していることや先週末のダウ平均や日経平均先物の上昇を受けて日経平均株価の堅調推移が見込まれることで、底堅い展開が予想される。
 しかしながら、今週末6日に米8月雇用統計の発表を控えていることや本日のニューヨーク市場がレーバーデーで休場のため、上値は限定的だと思われる。

 金曜日に発表された米連邦準備理事会(FRB)が金融政策を判断するうえで重視する7月米個人消費支出(PCE)価格指数(デフレーター)は前年比+2.5%と市場予想通りとなり、変動が激しい食品とエネルギーを除くコアデフレーターは前年比+2.6%と予想の+2.7%をわずかに下回った。
 米国のインフレ率の鈍化傾向は続いているものの、6月と7月が前年比+2.5%で下げ渋ったため、9月米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ幅が0.50%ではなく、0.25%の可能性が高まったことが、米長期金利の上昇、そしてドルの買い戻しに繋がったと思われる。

 FOMCは、2022年3月の利上げ開始以来、2大責務(「雇用の最大化」と「物価の安定」)のうち、「物価の安定」に特段の重点(highly attentive to inflation risks)を置いてきた。しかし、7月FOMCの声明文では、「2大責務の両面のリスクに留意する」(attentive to the risks to both sides of its dual mandate)との文言に変更された。すなわち、リスクバランスはこれまでのインフレ抑制に軸足を置いた状態から、インフレと雇用の間でバランスした状態になった、と判断が修正されたのである。

 さらに、パウエルFRB議長はジャクソンホール会合で、労働市場のさらなる冷え込みを防ぐため、「政策金利を引き下げる時が来た」と表明しており、9月FOMCでの利下げ幅は、米8月雇用統計の数字次第となる。

 本日は、10時30分に7月豪住宅建設許可件数(予想:前月比+2.5%)、10時45分に8月Caixin中国製造業購買担当者景気指数(PMI、予想:50.0)が発表される。
 豪ドル/ドルは、豪準備銀行(RBA)の利下げ時期が先送りされるとの観測から強含みに推移しており、豪住宅指標や中国景況感指標のサプライズには警戒しておきたい。


(山下)
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