週間為替展望(豪ドル/ZAR)-ZAR、年金制度改革が好材料

◆豪ドル、米インフレ指標を受けた一時的な振れに注意
◆豪ドル、米ハイテク株の変調による株安が重しとなる可能性
◆ZAR、南アの年金制度改革が好材料

予想レンジ
豪ドル円 94.00-100.00円
南ア・ランド円 7.80-8.30円

9月9日週の展望
 豪ドルは上値の重い展開となりそうだ。来週は豪州から10日に9月ウエストパック消費者信頼感指数や8月NAB企業景況感指数などが発表されるものの、豪ドル相場への影響は限られると予想される。今週と同じくドル相場や投資家のリスク志向の行方など外部要因に振らされる展開となりそうだ。

 注目は11-12日に公表される米国のインフレ指標。翌週(17-18日)に米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えるなか、インフレ指標を巡って市場も神経質にならざるを得ないだろう。9月FOMCで利下げが見込まれている一方、インフレの高止まりが続く豪州では利下げ開始が遅れると予想されているため、金利先高観という点では豪ドルが相対的に優位な立場にあるものの、米消費者物価指数(CPI)発表直後の一時的な相場の振れには注意が必要だ。

 また、株式市場の動向も豪ドルにとってリスク要因になる。米国株式市場は前週末までダウ平均が連日で過去最高値を更新するなど堅調推移を続けていたが、連休明け3日の取引から急変。半導体大手エヌビディアの株価下落をきっかけに米ハイテク株が軒並み安となり、日経平均株価を始めとして世界的な株安へと波及した。相場の変動リスクが高い局面では、投資家のリスク志向に敏感な豪ドルなどオセアニア通貨は避けられやすい傾向にあるため、株式市場の動揺が落ち着くまでは豪ドル買いを進めにくい状態が続くだろう。
 隣国のNZも10日に4-6月期製造業売上高の発表がある程度で、基本的に手掛かり材料は乏しい。ただ、対円では7月の相場急落を経て、足もとで進んでいた買い戻し基調が調整局面を迎えた可能性があるだけに、今後調整が一段と強まるか慎重に見極めたいところだ。

 南アフリカ・ランド(ZAR)は神経質な展開となりそうだ。来週は南アフリカから特段のイベントなどが予定されておらず、短期的にはドル相場の動向などに振らされるだろう。もっとも、南アの経済情勢を巡っては好材料が増えつつある。今週公表された4-6月期国内総生産(GDP)は市場予想こそ下回ったもののプラス成長となり、懸念されていたリセッション(景気後退)は回避された。今後についても今月から開始された年金制度改革によって退職前に基金の一部引き出しが可能となり、これらの資金が消費に向かうことでGDPを押し上げると予想されている。また、南アフリカ準備銀行(SARB)が今月19日の金融政策決定委員会(MPC)で利下げを開始する可能性が高いことも、同国の景気改善に寄与することになりそうだ。

9月2日週の回顧
 豪ドルは3日以降に世界的な株安が進む中でリスク回避の売りに押された。対円では100円の大台手前から96円台まで失速。対ドルでも0.67ドル割れ水準まで押し戻される場面があった。ZARは対ドルでは方向感を欠いた動きとなったが、対円では株安やドル円の下落につれて8.20円台から8.00円手前まで上値を切り下げた。(了)
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