欧州マーケットダイジェスト・20日 株安・金利上昇・円安

(20日終値:21日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=143.97円(20日15時時点比△1.71円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=160.66円(△1.83円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1159ドル(▲0.0006ドル)
FTSE100種総合株価指数:8229.99(前営業日比▲98.73)
ドイツ株式指数(DAX):18720.01(▲282.37)
10年物英国債利回り:3.903%(△0.012%)
10年物独国債利回り:2.208%(△0.010%)

※△はプラス、▲はマイナスを表す。

(主な欧州経済指標)
       <発表値>    <前回発表値>
8月英小売売上高(自動車燃料含む)
(前月比)   1.0%      0.7%・改
(前年比)   2.5%      1.5%・改
8月英小売売上高(自動車燃料除く)
(前月比)   1.1%      1.0%・改
(前年比)   2.3%       1.4%
8月独生産者物価指数(PPI)
(前月比)   0.2%       0.2%
9月仏企業景況感指数
         98        97
9月ユーロ圏消費者信頼感指数
(速報値)  ▲12.9      ▲13.4・改

※改は改定値を表す。▲はマイナス。

(各市場の動き)
・ドル円は上昇。植田和男日銀総裁が会見で「経済・物価見通しが実現していけば政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整していくことになる」と述べた一方、「為替の動向や物価上振れリスクが相応に減少していることで時間的に余裕がある」「今年2回の利上げの影響を踏まえつつ、徐々に中立金利への認識を深めていく段階」「直ちに見通しの確度高まり、すぐ利上げとはならない」などと発言すると、「利上げを急がないややハト派寄りの姿勢を示した」と受け止められ、円を売る動きが広がった。欧米市場に入っても、この流れが継続。米長期金利の指標となる米10年債利回りが3.76%台まで上昇するとドル買いも活発化し、0時過ぎに一時144.49円と4日以来の高値を更新した。
 ただ、買い一巡後は伸び悩んだ。植田日銀総裁の会見直前に付けた141.74円から急ピッチで上昇したこともあって、週末を控えたポジション調整目的の売りが出た。ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事が「今後の利下げ幅は発表されるデータ次第」としながらも、「雇用市場が悪化すれば、再び0.50%の利下げの検討あり得る」「データが軟調になれば、利下げペースが速まる可能性がある」と話したことも相場の重しとなり、143.65円付近まで下押しした。

・ユーロドルは一進一退。ポンドドルの上昇につれたユーロ買い・ドル売りが先行すると一時1.1182ドルと日通し高値を付けたものの、18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)直後に付けた高値1.1189ドルがレジスタンスとして意識されると失速した。米長期金利の上昇に伴うドル買いが優勢になると、0時30分前に一時1.1136ドルと日通し安値を更新した。もっとも、ウォラーFRB理事の発言を手掛かりにドルの売り戻しが進むと1.1176ドル付近まで持ち直した。
 なお、ポンドドルは8月英小売売上高が予想を上回ったことを受けて、一時1.3340ドルと2022年3月以来2年半ぶりの高値を更新する場面があった。

・ユーロ円はしっかり。植田日銀総裁による早期利上げに慎重な発言を受けて、全般円安が進んだ流れに沿った。20時30分前には一時161.16円と3日以来の高値を付けた。ナイト・セッションの日経平均先物が大証終値比650円高まで急上昇したことも相場を下支えした。

・ロンドン株式相場は反落。前日の上昇の反動で利益確定目的の売りが先行。週末を控えたポジション調整目的の売りも出た。リオ・ティントやアングロ・アメリカンなど素材株が売られたほか、セグロやランド・セキュリティーズ・グループなど不動産株が値下がりした。

・フランクフルト株式相場は反落。前日に急伸し史上最高値を更新したあとだけに、利益確定目的の売りが優勢となった。中国での販売不振を理由に通期コア利益見通しを再度下方修正したメルセデス・ベンツグループが6.81%安と大きく下げたほか、ザルトリウス(6.90%安)やブレンターク(5.91%安)などの下げが目立った。

・欧州債券相場は下落。米債安につれた。

(中村)
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