東京為替見通し=ドル円は中国人民元の動向、豪ドルはRBA政策金利に要注目か

 9日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、中国の景気浮揚期待を背景に投資家心理が楽観に傾いたことでリスク・オンの円売りが優勢となり、米10年債利回りが4.19%台まで上昇したことなどで151.35円まで上昇した。ユーロドルは1.0594ドルまで上昇した後、米長期金利の上昇で1.0547ドル付近まで下押しした。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、米中長期債利回り、中国の景気刺激策を受けた中国人民元や日経平均株価の動向を睨みながらの値動きが予想される。

 中国政府は、第2次トランプ米政権との米中貿易戦争を控えて景気浮揚策を発表しており、本日の中国人民元や株式市場の動向に注目することになる。

 昨日のドル円は、テクニカル分析では、一目均衡表の雲が支持帯として機能し、ファンダメンタルズ分析では、中国の景気浮揚期待によるリスク・オンの円売りや米10年債利回りが4.19%台まで上昇したことなどで、151円台まで反発している。

 フェデラルファンド(FF)金利先物市場が織り込む17-18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%の利下げ確率は86%程度となっており、利下げは既定路線となっている。
 
 昨日発表された日本の7-9月期の実質国内総生産(GDP)改定値が速報値から上方修正されたことで、18-19日の日銀金融政策決定会合での追加利上げ観測をサポートする材料となった。

 11月30日に報じられた日本経済新聞電子版の植田和男日銀総裁のインタビューでは、総裁は追加利上げの時期について「データがオントラック(想定通り)に推移しているという意味では近づいている」との認識を示していたが、今回の結果は日本経済が緩やかに回復している姿を示している。
 また、12月5日のハト派の中村日銀審議委員の講演でも、オントラックに言及があり、利上げの是非を判断する情報として、GDPの2次速報(※昨日上方修正)や12月調査の日銀短観(※13日発表)などのデータを確認したい、と述べていた。

 しかし、翌日物金利スワップ(OIS)市場が織り込む18-19日の日銀金融政策決定会合での0.25%の利上げ確率は28%程度に留まっており、ドル円の買い戻しに繋がったのかもしれない。

 12時30分に発表される豪準備銀行(RBA)の政策金利は4.35%での据え置きが予想されている。先週発表された7-9月期の国内総生産(GDP)は前期比+0.3%、前年比+0.8%と発表され、予想を下回る伸びに留まっており、10月の消費者物価指数(CPI)も前年比+2.1%に留まった。RBAは物価上昇が緩和していることが確認されるまで政策金利を据え置くと予想されており、11月の理事会では「政策がより長期間制限的である必要、またはさらに引き締める必要があるシナリオを議論」と利上げについて議論していた。
 また、ブロックRBA総裁は「コアインフレが目標を上回っており当面利下げしない」と述べている。RBAが注視するコアインフレ率(トリム平均値)は3.5%上昇しており、9月の3.2%の上昇から加速していた。
 市場の利下げ時期の予想は、来年半ばに予定されている連邦選挙以降に先送りされつつあり、11月のタカ派的な声明文の変化に注目しておきたい。

(山下)
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