東京為替見通し=日銀介入煽るものの円売りセンチメント継続か、RBA議事要旨に注目

 昨日の海外市場でドル円は157.27円まで上昇した。米利下げペースが鈍化するとの観測を背景に米10年債利回りが4.59%台まで上昇すると円売り・ドル買いが強まった。ユーロドルは、一時1.0384ドルと日通し安値を付けたものの、1.0418ドル付近まで下げ渋った。

 本日の東京時間のドル円は、引き続きドルの堅調地合いは維持されるだろう。もっとも、流動性が極端に悪化することもあり、ふとした弾みで起こる乱高下には要警戒となる。

 本日からドイツやスイスなどの複数国がクリスマスイブで休場。また、アジアでは豪州、ニュージーランド、香港、シンガポールが短縮取引、欧州も英国、フランスが同様に短縮取引。また、米国市場は為替市場は通常通りだが、債券や株式市場は短縮取引なこともあり大きな値動きは期待できないだろう。ただ、先週の日米金融イベントからのドル買い・円売りセンチメントは引き続き継続を見込む。

 本日は、日銀から2つの公表事項がある。1つ目は10月30-31日分の日銀金融政策決定会合議事要旨。しかしすでに12月(18-19日)に政策決定会合が開かれた前の議事要旨であることで、市場が動意づくことはないだろう。それよりも市場は、明日25日に日本経済団体連合会審議員会(経団連)で植田総裁が行う講演内容の方に注目を集めそうだ。

 もう1つは14時発表の「11月の全国消費者物価指数(CPI)の基調的なインフレ率を捕捉するための指標」。10月は刈込平均値が2022年5月以来となる1.5%まで低下し、最頻値も1.3%と今年の8月や2022年10月と並ぶ低い結果だった。また、加重平均値も0.8%と伸びが弱かった。これまで日銀総裁は、これらの基調インフレ率補足指数を重要視していると述べていた。しかし、12月会合後の植田総裁への質疑応答では「結局このデータ(基調インフレ補足指数)が、私どもが常日頃言っています基調的物価上昇率とは、かなりずれたものである」と、インフレ指標として判断していないと思われる発言をしていた。よって、仮にこの数値が上昇していた場合でも、植田総裁が会見で発言したワンノッチには届かず、指標結果が多少振れた場合だけでは市場へ与える影響は限られそうだ。

 日米金融イベント後のドル円の買いセンチメントは継続されそうだが、介入への警戒感には念のために注意しておく必要があるだろう。本日の日経新聞朝刊でも「高まる介入警戒感」「直近下落率『神田ライン』超え」などと大きく紙面を割いて掲載している。このような紙面掲載は、当局者が円安を懸念し始めていることで「書いてもらっている」とのうわさもある。前回7月の介入時よりも現在の円相場は、円安よりもドル高要因が強いが、警戒は怠らないようにしておきたい。

 なお、豪準備銀行(RBA)が本日公表する12月議事要旨は今月9-10日分と直近のものであり注目したい。議事要旨の詳細内容が声明文よりもハト派だった場合には特に警戒が必要か。理事会後に発表された声明文では「インフレの上振れリスクは緩和。消費者物価指数(CPI)は持続的に目標に戻ると確信」とハト派的な見解が示された。理事会後はRBAのタカ派スタンスが弱まったことを受け、市場は豪ドル売りで反応した。更に先週、市場全体でドル買いが進むと2022年10月以来となる0.62ドル割れまで弱含んでいる。議事要旨が声明文よりもハト派となった場合には、豪ドル売りがより一層進むことになることに注意したい。

(松井)
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