東京為替見通し=ドル円、日米金融政策の思惑から底堅い展開か

 27日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、ダウ平均や日経平均先物の下落を嫌気して157.35円まで下落した後、米10年債利回りが4.62%台まで上昇したことなどで157.95円付近まで持ち直した。ユーロドルは独長期金利の上昇に伴うユーロ買い・ドル売りで一時1.0444ドルまで上昇した後、米長期金利の上昇で1.0415ドル付近まで下押しした。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、年末・月末に向けて動きづらい展開が予想される中、日米金融政策への思惑から底堅い展開が予想されるものの、本邦通貨当局による円安抑制への警戒感から上値は限定的だと思われる。

 先週のドル円は、米連邦準備理事会(FRB)のタカ派的な利下げと日銀のハト派的な利上げ見送りを受けて158円台まで上昇したが、加藤財務相の円安牽制発言を受けて伸び悩む展開となった。

 本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入への警戒感が高まりつつあるものの、これまでは、「注視」「適切対応」「憂慮」という口先介入の段階に留まっており、「断固たる措置」といった円買い介入を示唆する切迫感は感じられない。

 神田前財務官は、ボラティリティー抑制を介入の目安にしていたが、ボラティリティーの上昇を測るボリンジャー・バンド+2σは、現時点では159円台半ばにある。

 本邦勢による円売りは、1-11月の貿易赤字が約5.5兆円、1-9月の新NISA(少額投資非課税制度)による投資信託が約10.1兆円、そして海外企業の買収などの円売りが加わる。
 ちなみに、日本の今年の経常収支は1-10月で約25兆円の黒字だが、円転されないため、円買い要因とはならない。
 そして、海外勢による円売りとしては、円・キャリートレードの再燃などが挙げられる。

 日銀が現状の円安による輸入物価上昇への警戒感を強めていない現状では、ドル買い・円売りに歯止めをかける措置としては、7月のような本邦通貨当局による円買い介入しかないように思われる。

 また、トランプ次期米大統領は、今年4月に、ドル円が34年ぶりの高値を更新して154円台に乗せた際に、「アメリカの製造業にとって大惨事」と述べており、同様の発言の可能性には引き続き警戒しておきたい。


(山下)
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