週間為替展望(ドル/ユーロ)-米関税政策巡る報道や米指標に注目

◆ドル円、トランプ米政権の関税政策巡る報道に引き続き警戒
◆CPIや小売売上高など米重要指標が目白押し
◆ユーロドル、欧州景気悪化懸念から軟調な動き

予想レンジ
ドル円   156.00-162.00円
ユーロドル 1.0000-1.0450ドル

1月13日週の展望
 ドル円は、トランプ次期米大統領による関税政策に対する思惑や米重要指標の発表を受けた長期金利の動向に大きく左右されそうだ。

 トランプ米政権発足が20日に迫るなか、今週も関税政策に関する報道がドルや米金利相場を動意づかせた。6日には米ワシントン・ポスト紙が「次期政権は、インフレを再燃させる懸念もあるため、関税引き上げの対象を、国家安全保障などに影響する重要分野に限定する計画を検討」と報じたためドルが下落したが、トランプ氏がすぐにこの報道を否定。8日には「同盟国にも敵対する国にも一律に関税を課すために、国際緊急経済権限法=IEEPAを使うことを検討」と伝わったため、米10年債利回りは一時4.72%台と昨年4月以来の高水準を付けた。ただ、IEEPAに関しては政権移行チームの間でもさまざまな手段が模索されており、最終決定ではないとされている。引き続きトランプ関税を巡る思惑がドル相場を左右するだろう。

 また、来週は14日に12月卸売物価指数(PPI)、15日に12月消費者物価指数(CPI)、16日に12月小売売上高、17日に12月鉱工業生産など重要指標が目白押しとなっている。トランプ政権による関税政策によりインフレが続くとの警戒感は根強いほか、米連邦準備理事会(FRB)高官からも利下げに慎重な発言が相次ぐなか、強い指標結果に対する反応が大きくなりそうだ。現時点で、今年の米利下げ回数は1-2回に留まるとの見方だが、引き締め政策へ転換する可能性も考慮しておきたい。

 ユーロドルは、ドイツを中心に欧州の景気悪化懸念が高まるなかで軟調な動きが続きそうだ。今週発表された11月独小売売上高は年末商戦の効果なく低調な結果となったほか、11月独製造業新規受注も民間航空機および部品の大幅減を受けて悪化。欧州経済の先行きに対する警戒感が一段と広がっている。また、英財政悪化懸念からポンドが大きく売られており、ユーロもつれ安となる可能性がある。チャート上でも、ユーロドルは約2年間続いたレンジを下抜け、目立った下値目処はパリティ(1ユーロ=1ドル)までないような状況。仕掛け的な売りも出やすいだろう。

1月6日週の回顧
 ドル円は下値が堅い。第2次トランプ米政権の関税政策を巡る報道を受けて週明けには一時156.24円まで急落したが、トランプ氏が報道否定すると反発。米長期金利の上昇も支えに8日には一時158.55円と昨年7月17日以来の高値を付けた。

 ユーロドルは上値が重い。週前半はドル安が進んだことで一時1.0437ドルまで買戻されたものの、欧州の景気悪化懸念から買いは続かなかった。米金利上昇も嫌気され一時1.0273ドルまで下押しした。(了)
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