東京為替見通し=観測記事への反応は徐々に鈍化も強い円買いトレンド変わらず

 昨日の海外市場でドル円は、米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.68%台まで上昇すると円売り・ドル買いが先行し156.35円付近まで値を上げた。ただ、ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事のハト派発言が伝わると、米10年債利回りが4.58%台まで低下。全般ドル売りが優勢となり、一時155.10円と昨年12月19日以来約1カ月ぶりの安値を付けた。ユーロドルは、米長期金利の低下とともに1.0315ドルまで強含んだ。
 
 本日の東京時間でドル円は、上値が重いだろう。昨日の東京時間で一部通信社が「米新政権の影響が限定的であれば、来週の日銀会合で利上げの可能性が高い」と報じたことで、155.21円まで急落。その後は1円以上買い戻しが入り「セリングクライマックスを確認できた」との声もあった。しかしながら、再び欧米時間に入ると上値が抑えられ、NY時間には米金利の低下とともに155.10円まで下値を広げている。

 米金利の低下では欧州通貨や新興国通貨に対するドル売りは限定的だったことを見れば、円が買える通貨として際立っているとも言え、あらためて円買いの地合いの強さ(ドル円の地合いの弱さ)を示している。

 本日も本邦実需勢が水準的にドル円を買う場面もあるだろうが、依然としてドル円を買っておけばよいという妄信的な動きを繰り返している投資家もいることで、下落時は再びドル売り・円買いになる局面もありそうだ。

 ただ、今週に入り本邦2年債などは16年ぶりの水準まで利回りが上昇するなど、市場ではすでに23-24日に行われる日銀金融政策決定会合での利上げを織り込みつつある。これまでのように観測報道だけでは、市場が大きく動意づくことが徐々に減ってきそうだ。

 ここから気を付けたいのは政策決定会合に参加しているメンバーが再び発言することか。他国の中央銀行では会合の投票権を有するメンバーは、1週間程度のブラックアウト期間(金融政策等に関する発言をしてはいけない期間)があるものの、日銀は2営業日前からブラックアウト期間が始まることで、来週21日までは様々な報道が流れる可能性もあるだろう。

 本日は本邦からは対外対内証券売買契約等の状況以外は、市場を動意づけるような経済指標の発表は予定されていない。ただ、中国からは10-12月期中国国内総生産(GDP)や12月鉱工業生産、同月小売売上高が発表される。市場の材料が乏しいときは人民元(CNH)の動きが他のドル相場にも影響を与えることもあることで、注目しておきたい。


(松井)
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