東京為替見通し=ドル円、下値が意識されやすい展開か 日銀の早期利上げ観測高まる

 6日のニューヨーク外国為替市場でドル円は147.32円と約5カ月ぶり安値を付けた。日銀の追加利上げ観測を背景とした円買いや、弱い米雇用指標を受けたドル売りがでた。ユーロドルは独金利上昇が進む中、「欧州中央銀行(ECB)の利下げ局面が終わりに近づいている」との見方が強まったこともあり1.0853ドルと約4カ月ぶりの高値を付けたが、その後は利益確定目的の売りが優勢となり1.0766ドルと日通し安値を更新した。ユーロ円は159円前半まで下落後に160.71円付近まで値を戻したが、ユーロドルの下落につれた売りが強まると159.13円まで日通し安値を更新した。

 本日の東京市場では、ドル円は日銀の早期利上げ期待が高まる中、昨日約16年ぶりに1.5%台に乗せた新発10年物国債利回りをながめながら、下値が意識されやすいと見る。

 昨日円高が進んだきっかけは、連合が「2025年春闘の賃上げ要求は32年ぶりに6%を上回った」と公表としたことである。高水準の賃上げ要求を受けて市場では「日銀が早期に追加利上げに動く」との観測が高まり、円買いが進んだ。一部では3月18-19日の日銀金融政策決定会合での追加利上げを予想する声も聞かれる中、利上げ期待を高めるような発言があれば敏感に反応することが予想される。本邦10年債利回りは昨日1.515%まで上昇しており、一段と金利が上昇する場面では円買いが進みやすいと見る。関連報道には注意したい。

 また、トランプ政権の関税を始めとした政策に対する不透明感が強い中、昨日は米株主要3指数がそろって下落。CME225先物は大阪取引所比で855円下落して引けており、本日の本邦株価に与える影響も気になるところ。日経平均の下げ幅拡大でリスク回避ムードが強まるようならば、ドル円を始めクロス円に下落圧力が掛かる展開もあり得る。引き続き関税を始めとする関連報道には気を配っておきたいところである。

 ただ、足元の相場は昨年10月以来の安値水準であるほか、年初の高値から11円超下落していることもあり、実需の買いが出ても不思議ではない。仲値公示に向けた動きには一応気を付けたい。

 本日の東京市場で予定されている主な経済イベントは、2月外貨準備高くらいと少なめ。NY時間に予定されている2月米雇用統計を前に市場に手控えムードが広がるようだと、ドル円は動きづらい展開となることも考えられる。


(川畑)
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