週間為替展望(豪ドル/ZAR)-豪ドル、相互関税を巡る交渉に注目
◆豪ドル、相互関税を巡る交渉に注目
◆豪ドル、雇用減も追加緩和期待は高まらず
◆ZAR、政府内対立などネガティブ材料目立つ
予想レンジ
豪ドル円 91.00-95.00円
南ア・ランド円 7.80-8.30円
3月24日週の展望
豪ドルは神経質な動きが予想される。米政権が相互関税の詳細を発表するとしている4月2日が近づくなか、豪ドルも米関税を巡る報道などに振らされることになりそうだ。トランプ米政権は相互関税率が国によって変わり、4月2日までに交渉が妥結した際には一部関税を施行しなくてもよくなるとの見解を示しているため、豪米政府間交渉の行方に注目しておきたい。なお、トランプ政権が今月決定した25%の鉄鋼・アルミニウム関税については豪州も例外なく適用除外とはならなかった。今回の相互関税について、豪州に対しては2-8%程度と控えめな関税率が予想されているが、適用品目がはるかに多くなるため、豪州経済への影響が懸念されている。
今週発表された2月雇用統計では新規雇用者数が5.28万人減と市場予想(3.00万人増)を大きく下回り、豪ドル売りで反応する場面があった。もっとも、豪統計局は「職場復帰する高齢者の減少が原因」としており、豪雇用環境のひっ迫は依然として続いているとの認識のようだ。市場でも今回の結果によって「豪準備銀行(RBA)の追加緩和の可能性が高まることはない」との見方が優勢だ。失業率は4.1%と統計開始以来の平均(6.3%)を大きく下回っており、雇用のひっ迫が続く中でも賃金とインフレの緩和が続いているか見極めるためには、RBAが重視している四半期消費者物価指数(CPI)を確認する必要がある。しかし、同指標は4月30日に公表が予定されており、その前に開催される次回のRBA理事会(31日-4月1日)では追加緩和に動きにくいとのシナリオが中心となっている。来週は26日に2月CPIの発表が控えているものの、市場予想から大きく乖離しない限りは豪ドル相場への影響も一時的なものにとどまるだろう。
南アフリカ・ランド(ZAR)は伸び悩む展開が予想される。付加価値税(VAT)の引き上げなどを巡って国民統一政府(GNU)内の意見対立が解消されず、依然として予算案が議会で可決されるか不透明となっているほか、南ア国内の土地政策に対して米国と対立が続いていることから相互関税に関しても手厳しい対応を取られる可能性がある。いずれもネガティブな材料であることを考慮するとZAR買いを進めづらい地合いはしばらく続きそうだ。
なお、南アフリカ準備銀行(SARB)は今週開催された金融政策委員会(MPC)で、政策金利を市場予想通り7.50%で据え置いた。6人のメンバーのうち2人が0.25%の金利引き下げを支持したことが明らかになったほか、今年のインフレ・成長率予測については小幅に下方修正された。
3月17日週の回顧
豪ドルは対ドル・対円ともに上値が重かった。対円では週前半に95円台後半まで上値を伸ばす場面もあったが、その後は伸び悩む展開となり、日米金融政策を通過した週後半には93円台前半まで押し戻された。ZARも同様に上値の重さが意識される展開となり、ZAR円は18日に8.32円の高値をつけた後、8.14円まで反落した。(了)
(越後)
◆豪ドル、雇用減も追加緩和期待は高まらず
◆ZAR、政府内対立などネガティブ材料目立つ
予想レンジ
豪ドル円 91.00-95.00円
南ア・ランド円 7.80-8.30円
3月24日週の展望
豪ドルは神経質な動きが予想される。米政権が相互関税の詳細を発表するとしている4月2日が近づくなか、豪ドルも米関税を巡る報道などに振らされることになりそうだ。トランプ米政権は相互関税率が国によって変わり、4月2日までに交渉が妥結した際には一部関税を施行しなくてもよくなるとの見解を示しているため、豪米政府間交渉の行方に注目しておきたい。なお、トランプ政権が今月決定した25%の鉄鋼・アルミニウム関税については豪州も例外なく適用除外とはならなかった。今回の相互関税について、豪州に対しては2-8%程度と控えめな関税率が予想されているが、適用品目がはるかに多くなるため、豪州経済への影響が懸念されている。
今週発表された2月雇用統計では新規雇用者数が5.28万人減と市場予想(3.00万人増)を大きく下回り、豪ドル売りで反応する場面があった。もっとも、豪統計局は「職場復帰する高齢者の減少が原因」としており、豪雇用環境のひっ迫は依然として続いているとの認識のようだ。市場でも今回の結果によって「豪準備銀行(RBA)の追加緩和の可能性が高まることはない」との見方が優勢だ。失業率は4.1%と統計開始以来の平均(6.3%)を大きく下回っており、雇用のひっ迫が続く中でも賃金とインフレの緩和が続いているか見極めるためには、RBAが重視している四半期消費者物価指数(CPI)を確認する必要がある。しかし、同指標は4月30日に公表が予定されており、その前に開催される次回のRBA理事会(31日-4月1日)では追加緩和に動きにくいとのシナリオが中心となっている。来週は26日に2月CPIの発表が控えているものの、市場予想から大きく乖離しない限りは豪ドル相場への影響も一時的なものにとどまるだろう。
南アフリカ・ランド(ZAR)は伸び悩む展開が予想される。付加価値税(VAT)の引き上げなどを巡って国民統一政府(GNU)内の意見対立が解消されず、依然として予算案が議会で可決されるか不透明となっているほか、南ア国内の土地政策に対して米国と対立が続いていることから相互関税に関しても手厳しい対応を取られる可能性がある。いずれもネガティブな材料であることを考慮するとZAR買いを進めづらい地合いはしばらく続きそうだ。
なお、南アフリカ準備銀行(SARB)は今週開催された金融政策委員会(MPC)で、政策金利を市場予想通り7.50%で据え置いた。6人のメンバーのうち2人が0.25%の金利引き下げを支持したことが明らかになったほか、今年のインフレ・成長率予測については小幅に下方修正された。
3月17日週の回顧
豪ドルは対ドル・対円ともに上値が重かった。対円では週前半に95円台後半まで上値を伸ばす場面もあったが、その後は伸び悩む展開となり、日米金融政策を通過した週後半には93円台前半まで押し戻された。ZARも同様に上値の重さが意識される展開となり、ZAR円は18日に8.32円の高値をつけた後、8.14円まで反落した。(了)
(越後)