東京為替見通し=ドル円、上値が重い展開か 投機筋の持ち高偏りには注意

 21日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、欧米株価指数の下落や米長期金利の低下を受けて148.61円付近まで値を下げた後、ダウ平均や米長期金利の上昇に連れて149.37円付近まで反発した。ユーロドルは1.0861ドルから欧州株価の下落を背景に1.0798ドルまで下落した。ユーロ円は160.75円から161.61円付近まで上昇した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、米長期金利が低下基調にあることで上値が重い展開が予想される。

 19日の日米金融政策決定会合を受けて、6月の日銀追加利上げ観測、FOMCの追加利下げ観測が高まっており、ドル・円の上値を重くしている。

 注目されているIMM通貨先物の投機部門の円のネットの買い持ちポジションは、3月11日時点の過去最大の133902枚から、18日時点では122964枚まで減っていた。ドル円が19日に150.15円まで上昇したことで、さらに縮小しているかもしれない。依然として投機筋が大規模な円の買い持ちポジションを抱えている可能性があるため、ドル高・円安材料が出た場合は、手仕舞う動きには警戒しておきたい。

 日銀金融政策決定会合の声明文は、「各国の通商政策」がリスク要因に加えられたことは、ハト派的だった。しかし、植田日銀総裁が「4月初めには通商政策の内容がある程度でてくる。次回の決定会合ないし展望リポートの中である程度消化できる」と述べて、「4月初め」や「次回会合(4/30-5/1)」という時間軸を示したことがタカ派的と受け止められて、円買い要因となっている。

 なお、オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)市場での日銀の追加利上げのタイミングは、7月の参議院選挙の前の6月16-17日の日銀金融政策決定会合との見方が優勢だ。

 トランプ米大統領は、先週末に4月2日に導入する予定の相互関税について「柔軟性がある」との認識を示しており、植田日銀総裁の発言に現実味を帯びさせている。今後は、4月2日に向けて、トランプ米大統領による関税の発動、延長、緩和などの発言に振らされる展開が予想される。

 米連邦公開市場委員会(FOMC)では、トランプ関税によるインフレ率上昇と景況感悪化という「スタグフレーション」への警戒感が示され、4月からの米国債のランオフ(償還に伴う保有証券減少)ペースの上限が月間250億ドルから50億ドルに減額、すなわち間接的な利下げが決定されたことは、ドル売り要因となっている。

 シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」が示している追加利下げ時期は、6月FOMC(-0.25%=4.00-25%)、そして9月FOMC(-0.25%=3.75-4.00%)、12月FOMC(-0.25%=3.50-75%)と、年内3回と予想されている。

(山下)
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