東京為替見通し=ドル円は2月企業向けサービス価格指数、豪ドルが2月豪CPIに要注目

 25日のニューヨーク外国為替市場でドル円は149.55円まで下落した。3月米消費者信頼感指数や同月米リッチモンド連銀製造業景気指数、2月米新築住宅販売件数が軒並み予想を下回り、米長期金利の低下とともにドル売りが優勢となった。ユーロドルは、欧州序盤の安値1.0777ドルから1.0830ドルまで強含みに推移した後、1.0790ドル付近まで押し戻された。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、2月企業向けサービス価格指数で物価情勢を確認することになる。また豪ドルは、2月豪消費者物価指数(CPI)で動意付くかに注目。

 8時50分に発表される2月企業向けサービス価格指数は前年比+3.1%と予想されており、1月の同比+3.1%と変わらずと見込まれている。予想通りに48カ月連続での上昇を記録した場合、日銀の追加利上げ観測をさらに高めることになる。

 日本の2月の物価指数は、以下の通りとなっている。
・総合消費者物価指数(CPI):+3.7%(1月+4.0%)
・コアCPI(生鮮食品を除く):+3.0%(1月+3.2%)
・企業物価指数:+4.0%(1月+4.2%)
・基調的なインフレ率を捕捉するための指標
「最頻値」:+1.2%(1月+1.3%)
「刈込平均値」:+2.2%(1月+2.2%)
「加重中央値」:+1.4%(1月+1.4%)

 植田日銀総裁は3月19日の記者会見で「昨今のコメ価格上昇が、未だ2%には届かないとする基調的インフレを押し上げる遠因になり得る」と述べていた。コメ価格の上昇や光熱費補助の終了による物価上昇への警戒感が、日銀金融政策決定会合での早期利上げ観測を高めており、ドル円の上値を抑える要因となっている。

 3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)のドット・プロット(金利予測分布図)、消費者信頼感指数、ミシガン大学消費者信頼感指数が、トランプ関税によるスタグフレーション(景気停滞下の物価上昇)への警戒感を示したことで、昨日は米長期債利回りがやや低下し、ドル円を149円台まで押し下げた。

 アトランタ連銀の予測モデル「GDPナウ」では、第1四半期の米国内総生産(GDP)は、-1.8%とマイナス成長に転落することが予想されている。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」が示している追加利下げ時期は、6月FOMCとなっている。

 他方、9時30分に発表される2月豪消費者物価指数(CPI)は前年比+2.5%と予想されており、1月の同比+2.5%と変わらずと見込まれている。コアインフレ率の指標として注目されるCPIの中銀トリム平均値は同比+2.8%と、12月の同比+2.7%から上昇していた。

 豪準備銀行(RBA)がインフレ指標として重視している四半期消費者物価指数(CPI)の発表は、4月30日まで待たなければならず、3月31日-4月1日に開催されるRBA理事会での金融政策の変更はないとの見方が優勢となっている。しかしながら、予想を大幅に下回るネガティブサプライズには警戒しておきたい。


(山下)
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