ロンドン為替見通し=リスク回避ムード広がるか、貿易戦争への警戒感高まる

 本日のロンドン為替市場では、先週末から再び強まったリスク回避ムードが、どの程度まで広がるかを見極めながらの取引か。主なイベントとしては、イタリアとフランスの中銀総裁の講演が欧州午前、独消費者物価指数(CPI)の発表が午後に予定されている。

 28日に発表された米国の経済指標では、物価高と景気悪化が重なる「スタグフレーション」のリスクに対して懸念が急速に高まった。トランプ米大統領による関税強化策が、賦課される国だけでなく米経済の先行きでさえも不安にさせているという状況だ。

 4月2日にトランプ政権が発表する(貿易相手国に同等の関税を課す)「相互関税」について、米ウォールストリートジャーナル紙が「より広範囲で高い関税が検討されている」と報じた。一時トランプ大統領は「柔軟性」に言及していただけに、市場としては梯子を外された形だ。米国が強硬スタンスを変えないようだと、欧州連合(EU)による早期の報復関税発動もあり得、一気に貿易戦争に突き進む可能性が高まる。

 関税合戦により欧州経済の成長減速が懸念されるなか、単純に考えればリスク回避のユーロ売り・円買いが優勢となるか。ただ本日の欧州時間から、本邦勢は新たな年度での取引とするところが多い。そのため、日本の機関投資家からの海外投資に絡んだフローで、クロス円が支えられる場面があるかもしれない。ユーロの対ドルについては、クロス円の動向や米長期金利の方向性に左右されそうだ。

 21時に発表される3月独CPI速報値(予想:前月比0.3%/前年比2.2%)は、前回2月分から減速見込み。こちら、欧州午前からドイツ各州のCPIも発表予定。州CPIで全国の上下振れを見通した動きをすることも多く、そちらも注視する必要があるか。


想定レンジ上限
・ユーロ円、200日移動平均線162.52円を超えると27日高値163.36円
・ユーロドル、21日高値1.0861ドルを超えると20日高値1.0917ドル

想定レンジ下限
・ユーロ円、日足一目均衡表・雲の上限160.26円
・ユーロドル、28日安値1.0765ドル

(小針)
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