ロンドン為替見通し=引き続き関税政策が焦点、EU追加関税リストに注目

 本日も欧州時間でユーロドルは、引き続き関税に関する報道で上下することになるだろう。関税に関する報道は、米国対欧州連合(EU)の間だけではなく、対中国をはじめ他国に対する報道でもユーロ相場に影響を与えることで警戒したい。

 中国に対する米国の関税強化により、米国は対中関税を104%にまで引き上げることを示唆している。しかしながら、中国もこの関税に対し一歩も引く様相はない。米国がこれまでの同盟国だったEUや日本、韓国などに対しても高関税賦課を決定していることもあり、一部では米国を見限り中国へシフトする国が増加していることも、中国が強気な姿勢を崩さない要因になっている。また、BRICSもこれまでのブラジル・インド・南アと中国だけでなく、イラン、エジプト、アラブ首長国連邦(UAE)、エチオピア、インドネシアが正式加盟、タイやマレーシアを含め9カ国もパートナーとして認められていることも中国の支えになるだろう。

 昨日、EUは米・EU間で工業製品の関税を互いに撤廃することを提案したが、これについてトランプ米大統領は「軍事的に守るために金をかけ、彼らは貿易でこちらから搾取している」と論点を変えて返答し、合意に至らなかった。本日はEUが追加関税を課す米国からの輸入品のリストを、欧州議会の承認を求める予定になっている(承認された場合には導入は2段階に分けられ、一部の品目には15日から適用し、残りは1カ月後に採り入れる予定)。予定通り発表された場合は、トランプ米大統領の反応次第でユーロ相場も動意づくことになるだろう。

 なお、本日は欧州圏からは主だった経済指標の発表は予定されていない。クノット・オランダ中銀総裁、ビルロワドガロー仏中銀総裁、チポローネ欧州中央銀行(ECB)専務理事の講演は予定されているが、ユーロが動意づくのを期待するのは難しそうだ。

 ・想定レンジ上限
 ユーロドル:4月4日高値1.1108ドル。

・想定レンジ下限
 ユーロドル:4月7日安値1.0882ドル。


(松井)
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