欧州マーケットダイジェスト・11日 金融市場の過度な緊張和らぐ

(11日終値:12日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=144.13円(11日15時時点比△0.54円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=162.65円(△0.64円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1285ドル(△0.0002ドル)
FTSE100種総合株価指数:7964.18(前営業日比△50.93)
ドイツ株式指数(DAX):20374.10(▲188.63)
10年物英国債利回り:4.753%(△0.110%)
10年物独国債利回り:2.570%(▲0.010%)

※△はプラス、▲はマイナスを表す。

(主な欧州経済指標)
       <発表値>    <前回発表値>
3月独消費者物価指数(CPI)改定値
(前月比)   0.3%       0.3%
(前年同月比) 2.2%       2.2%
2月英国内総生産(GDP)
(前月比)   0.5%      0.0%・改
2月英鉱工業生産
(前月比)   1.5%     ▲0.5%・改

(各市場の動き)
・ドル円は下値が堅かった。米中貿易戦争激化への警戒から、欧州勢がドル売りで参入すると18時前に一時142.07円と昨年9月以来の安値を付けたものの、売り一巡後は徐々に下げ渋った。「赤沢経済再生相は来週17日に訪米して米国側と通商協議を行う」との報道などが相場を下支えしたようだ。
 なお、中国政府はこの日、米相互関税への報復措置として、米国からの輸入品に対する追加関税を84%から125%に引き上げると発表した。一方、今後は米国がさらに対中関税を引き上げても「相手にしない」と報復の打ち止めを宣言した。
 NYの取引時間帯に入ると、買い戻しが優勢となった。前日の3月米消費者物価指数(CPI)に続き、本日発表の3月米卸売物価指数(PPI)も予想を下回ったが、ドル売りでの反応は一時的。また、4月米ミシガン大学消費者態度指数速報値は予想を下回った半面、期待インフレ率は予想を上回った。景況感が悪化する中、物価が上昇することへの警戒が高まると、米国株や米国債の下落とともにドル円にも売りが出たが、下押しは限られた。
 一時4.5864%前後と2月13日以来の高水準を付けた米10年債利回りが4.43%台まで上昇幅を縮め、330ドル超下落したダウ平均が800ドル超上昇したことで、投資家の過度なリスク回避姿勢が和らぎ円売り・ドル買いが進んだ。市場では「投機筋の円ロング(ドル円のショート)ポジションの偏りが警戒される中、週末を控えたポジション調整目的の円売り・ドル買いが出た」との指摘もあり、一時144.20円付近まで持ち直した。

・ユーロドルは上値が重かった。欧州勢がドル売りで参入すると一時1.1473ドルと2022年2月以来の高値を付けたものの、買い一巡後は徐々に上値を切り下げた。NY市場に入ると、今週進んだ米国の「トリプル安(株安・債券安・通貨安)」を巻き戻す動きが広がり、一時1.1277ドル付近まで下押しした。安く始まった米国株は上昇に転じ、米国債は下げ幅を縮小。主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは日本時間夕刻に付けた3年ぶりの低水準である99.01から100.38付近まで戻した。
 なお、ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁は「ECBは必要なら、ショックへの対応措置を講じる」「特定の為替水準を目標においてはいない」などと述べた。

・ユーロ円は一進一退。日本時間夕刻に一時163.13円と日通し高値を付けたものの、21時前には161.52円付近まで下落した。ただ、アジア時間に付けた日通し安値161.31円が目先サポートとして働くと買い戻しが優勢となり162.94円付近まで持ち直した。ドル円とユーロドルの値動きの影響を同時に受けたため、相場は大きな方向感が出なかった。

・ロンドン株式相場は続伸。貿易摩擦の激化で世界景気が下振れするとの警戒感は根強いものの、2月英国内総生産(GDP)や2月英鉱工業生産が予想より強い内容だったことが好感されると株買いが優勢となった。リオ・ティントやアングロ・アメリカンなど素材株が買われたほか、セグロやランド・セキュリティーズ・グループなど不動産株が値上がりした。

・フランクフルト株式相場は反落。中国が米国からの輸入品に対する追加関税を84%から125%に引き上げると発表すると売りが強まる場面があった。ただ、引けにかけては値ごろ感からの買いが入り下げ渋った。個別ではMTUエアロ・エンジンズ(5.81%安)やシーメンス(3.35%安)、エアバス(3.33%安)などの下げが目立ったが、下落した銘柄の方が上昇した銘柄よりも少なかった。

・欧州債券相場は英国債が下落した一方、独国債が上昇した。

(中村)
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