ロンドン為替見通し=ボラティリティ高まったままか、トランプ関税に振らされる展開続く

 週明けロンドン為替市場でもトランプ関税に絡んだリスク許容度合いの強弱に振らされ、ボラティリティは高まったままか。先週末11日のユーロドルは振り返っても、1.12ドル割れから2022年2月以来の高値1.1473ドルまで急伸。その後に200ポイント近く下落するなど激しい動きだった。週明けオセアニアからアジア市場でも1.12ドル後半まで売られたところから1.14ドル超えまで切り返し、依然としてレンジ幅は広いままだ。

 欧州連合(EU)は米国からの輸入品の一部に対して先週、15日から発動するとしていた報復関税の「90日間停止」を発表した。トランプ米政権が相互関税の上乗せ賦課を延期したことへの対応とされた。これにより米EUとの貿易摩擦が緩和したように見えるが、フォンデアライエン欧州委員長は「関税交渉が不調に終われば、報復措置を講じる」と述べており、先行き不透明感は払しょくされてはいない。

 EUからは既にワイン輸出の一部が停止しているとされ、欧州経済の回復が遅れる可能性が出始めている。トランプ関税でEUが被る経済損失について、一部報道からは、今後4年間で7500億ユーロ規模まで拡大する見通しが示された。EU圏で先行き景気に不安感が広まるなか、今週17日に欧州中央銀行(ECB)が政策金利を公表する。今のところ、0.25%の追加利下げが市場予想。関税問題が解決するまでは、ラガルドECB総裁の舵取りはかなり難しいものとなるだろう。

 ほか米国市場の話になるが、欧州前半から時間外取引が開始されるアップルなど半導体関連株の動向には注目しておきたい。前週末にトランプ政権はスマートフォンなどの電子機器を相互関税の対象から除外。しかしながらラトニック米商務長官は、それらは今後予定している半導体関税の対象になると説明した。本日は、トランプ米大統領が半導体への関税措置について詳細を発表するもよう。

 想定レンジ上限
・ユーロドル、11日高値1.1473ドル

想定レンジ下限
・ユーロドル、14日オセアニア市場安値1.1280ドル


(小針)
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