欧州マーケットダイジェスト・20日 株安・金利低下・ユーロ上値重い

(20日終値:21日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=138.27円(20日15時時点比△0.19円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=140.44円(▲0.92円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0157ドル(▲0.0080ドル)
FTSE100種総合株価指数:7264.31(前営業日比▲31.97)
ドイツ株式指数(DAX):13281.98(▲26.43)
10年物英国債利回り:2.139%(▲0.041%)
10年物独国債利回り:1.257%(▲0.020%)

※△はプラス、▲はマイナスを表す。

(主な欧州経済指標)        <発表値>    <前回発表値>
6月英消費者物価指数(CPI)
前月比                0.8%       0.7%
前年比                9.4%       9.1%
6月独生産者物価指数(PPI)
前月比                0.6%       1.6%
5月ユーロ圏経常収支(季調済) 45億ユーロの赤字 39億ユーロの赤字・改
7月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値)▲27.0     ▲23.8・改

※改は改定値を表す。▲はマイナス。

(各市場の動き)
・ユーロドルは上値が重かった。21日の欧州中央銀行(ECB)定例理事会で0.50%利上げ期待が高まっていることなどを材料に買いが先行。前日の高値1.0269ドルを上抜けて一時1.0273ドルまで値を上げた。
 ただ、ロシア産天然ガスの供給不安やイタリア政局不安は払しょくされず、ユーロを買う動きは続かなかった。ECBの積極的な金融引き締めがユーロ圏景気の悪化につながるとの警戒も相場の重し。「イタリアでは複数の政党がドラギ首相の支持を拒否した」との報道が伝わると、イタリア政局不安が高まり一時1.0156ドルと日通し安値を更新した。
 なお、プーチン露大統領はこの日、欧州に天然ガスを供給するパイプライン「ノルドストリーム1」について、「カナダで修理されたタービンがどのような状態で返却されるかは不明で、スイッチが切られていればガス供給は停止する可能性がある」との認識を示した。

・ポンドドルも上値が重かった。6月英消費者物価指数(CPI)が前年比9.4%上昇と前月から一段と加速し、予想を上回ったことが分かると一時1.2033ドル付近まで値を上げたものの、アジア時間に付けた日通し高値1.2038ドルを上抜けることは出来なかった。高インフレによる消費減退への警戒からポンド売りがじわりと強まり、一時1.1954ドルと日通し安値を更新した。市場では「インフレ高進で家計の実質所得環境は悪化しており、消費への悪影響が懸念される」との指摘があった。
 なお、ジョンソン英首相の後任を選出する与党・保守党党首選の第5回投票が実施され、スナク前財務相が137票を獲得し、首位を維持した。トラス外相は2位となり、スナク氏とトラス氏が全党員による決選投票で対決することになった。

・ドル円はもみ合い。15時30分過ぎに一時138.33円付近まで上げたものの、アジア時間に付けた日通し高値138.37円手前で失速。22時過ぎには137.97円付近まで押し戻された。もっとも、アジア時間に付けた日通し安値137.90円も下抜けることは出来なかった。
 20-21日の日銀金融政策決定会合や26-27日の米連邦公開市場委員会(FOMC)など、重要な金融イベントを控えて積極的に持ち高を傾ける展開にはならなかった。欧州時間の値幅は36銭程度にとどまった。
 なお、6月米中古住宅販売件数は年率換算で512万件と予想の536万件を下回ったが、目立った反応は見られなかった。

・ユーロ円は頭が重かった。16時30分前に一時141.93円と本日高値を付けたものの、その後失速。ロシア産天然ガスの供給不安やイタリア政局不安を背景にユーロ売りが進み、3時前に140.43円と本日安値を付けた。

・ロンドン株式相場は4日ぶりに反落。前日の米国株や本日のアジア株の上昇を受けて買いが先行したものの、そのあとはじり安の展開となった。高インフレによる消費減退への警戒感から徐々に売りが優勢となり、ロンドン午後には下げに転じた。なお、この日発表の6月英CPIは前月から一段と加速し、市場予想を上回った。

・フランクフルト株式相場は4日ぶりに小反落。ECBの積極的な金融引き締めがユーロ圏景気の悪化につながるとの警戒感から、独株にも売りが出た。ロシアからの天然ガス供給の不透明感も相場の重し。個別ではハローフレッシュ(9.41%安)やハノーバー再保険(2.03%安)、フレゼニウス(1.97%安)などの下げが目立った。

・欧州債券相場は上昇。株安を受けた。

(中村)
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