ニューヨーク外国為替市場概況・21日 ユーロドル、反発

 21日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは反発。終値は1.0230ドルと前営業日NY終値(1.0180ドル)と比べて0.0050ドル程度のユーロ高水準だった。欧州中央銀行(ECB)はこの日開いた定例理事会で、政策金利を0.50%引き上げることを決めたと発表。一部の市場予想(0.25%利上げ)を上回る利上げ幅となったことを受けて全般ユーロ買いが先行した。前日の高値1.0273ドルを上抜けて一時1.0278ドルまで上値を伸ばした。声明では「今後の会合で、金利のさらなる正常化が適切に行われるだろう」との見解が示された。
 ただ、ラガルドECB総裁が理事会後の会見で「ECBは利上げを加速する」としながらも、「最終的な金利水準は変えない」と述べ、利上げが終了する金利水準は変わっていないことを明らかにすると一転ユーロ売りが優勢に。22時30分前には一時1.0154ドルと日通し安値を更新した。また、イタリアではマッタレッラ大統領がドラギ首相の辞表を受理し、議会の解散を表明。9月25日に総選挙が実施される見通しとなった。イタリアの政局不安もユーロの重しとなった。
 もっとも、売り一巡後はじりじりと下値を切り上げた。ロシアと欧州を結ぶ主要ガスパイプライン「ノルドストリーム1」の運営会社はこの日、10日間の定期メンテナンスを終えてドイツへのガス供給が再開したと発表。欧州のエネルギー供給不安が和らぎユーロ買い戻しを誘った。米長期金利の低下に伴うドル売りも入り、取引終了間際には1.0233ドル付近まで持ち直す場面があった。

 ドル円は3営業日ぶりに反落。終値は137.36円と前営業日NY終値(138.21円)と比べて85銭程度のドル安水準だった。日銀が大規模金融緩和の維持を決めたことで、日本時間夕刻には138.88円まで上昇する場面もあったが、NY市場ではさえない展開となった。7月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数が▲12.3と予想を大きく下回り、2020年5月以来の水準まで悪化したほか、6月米景気先行指標総合指数が前月比0.8%低下と予想より弱い内容となったことが円買い・ドル売りを促し、取引終了間際に一時137.30円と日通し安値を付けた。バイデン米大統領が新型コロナウイルス検査で陽性と判定されたことや、米10年債利回りが一時2.86%台まで急低下したことも相場の重し。

 ユーロ円は小幅続落。終値は140.52円と前営業日NY終値(140.64円)と比べて12銭程度のユーロ安水準。21時30分前に一時142.32円と日通し高値を付けたものの、そのあとはユーロドルの失速やドル円の下落につれた売りが出て、4時30分前に一時140.14円と日通し安値を付けた。

 南アフリカランドは上昇。南アフリカ準備銀行(SARB)はこの日、政策金利を0.75%引き上げることを決めたと発表。市場予想(0.50%利上げ)を上回る利上げ幅となったことで、全般ランド買いが進んだ。対ドルでは一時16.9980ランド、対円では8.13円まで値を上げた。

本日の参考レンジ
ドル円:137.30円 - 138.88円
ユーロドル:1.0154ドル - 1.0278ドル
ユーロ円:140.14円 - 142.32円

(中村)
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