欧州マーケットダイジェスト・2日 株安・金利上昇・ドル高

(2日終値:3日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=132.78円(2日15時時点比△2.13円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=135.22円(△1.09円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0183ドル(▲0.0084ドル)
FTSE100種総合株価指数:7409.11(前営業日比▲4.31)
ドイツ株式指数(DAX):13449.20(▲30.43)
10年物英国債利回り:1.869%(△0.061%)
10年物独国債利回り:0.820%(△0.041%)

※△はプラス、▲はマイナスを表す。

(主な欧州経済指標)        <発表値>    <前回発表値>
7月英ネーションワイド住宅価格指数
前月比                0.1%      0.2%・改
7月スイスSECO消費者信頼感指数    ▲41.7       ▲27.4
7月スイス製造業PMI          58.0        59.1

※改は改定値を表す。▲はマイナス。

(各市場の動き)
・ドル円は急上昇。ペロシ米下院議長の台湾訪問で、米中間の緊張が激化するとの懸念から、アジア市場では一時130.41円と6月3日以来約2カ月ぶりの安値を付けたが、節目の130.00円を維持したことで欧州市場では下げ渋った。
 NYの取引時間帯に入ると、米長期金利の上昇をきっかけに円売り・ドル買いが活発化した。デイリー米サンフランシスコ連銀総裁が「FRBのインフレ対策は終了からほど遠い」と述べたほか、エバンズ米シカゴ連銀総裁が「9月会合での0.50%利上げは合理的だが0.75%でも問題ない」「12月までに3.25-3.5%の金利目標に到達するのは合理的」などと発言。さらにメスター米クリーブランド連銀総裁が「インフレは全く落ち着いていない」「FRBはインフレ抑制にコミット」と述べたことで、米国債の売り(金利は上昇)とドル買いが強まった。ペロシ氏の台湾到着が無事確認されたことも円売り・ドル買いを誘い、2時30分過ぎに一時132.93円の本日高値まで値を上げた。
 なおペロシ氏の台湾到着後、中国軍東部戦区は2日夜から台湾周辺で演習や実弾射撃などの軍事行動を実施し、中国人民解放軍は「4-7日に軍事演習を実施する」と表明したものの、過激な報復行動は見られず、台湾情勢を巡るリスク・オフの動きはいったん和らいだ。市場では「米中間の緊張が大幅にエスカレートした場合の影響は大きいものの、現時点ではそのような可能性は低いだろう」との声が聞かれた。

・ユーロドルは軟調。ペロシ氏の台湾訪問を巡り、米中関係の緊張を警戒した動きも見られたが、FRB高官らのタカ派的な発言をきっかけに米長期金利が上昇するとユーロ売り・ドル買いが優勢になった。前日の安値1.0205ドルを下抜けて一時1.0171ドルまで下げ足を速めた。
 なお、デイリー氏は「FRBが来年には利下げを始める」との観測が出ていることについて「困惑している。市場参加者はデータのどこを見ているのか。私の見通しとは異なる」と批判した。

・ユーロ円は底堅い動き。台湾情勢を巡る地政学リスクへの不安から、リスク・オフの円買い・ユーロ売りが先行。21時30分過ぎに一時133.40円と5月13日以来の安値を付けた。ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢に。ドル円の上昇につれた買いが入り、一時135.25円と日通し高値を更新した。台湾情勢を巡る地政学リスクへの警戒感が後退したことも相場の支援材料。

・ロンドン株式相場は小幅ながら続落。台湾情勢を巡る地政学リスクへの不安から、株式への売りがやや優勢となった。リオ・ティントやアングロ・アメリカンなど素材株の下げが目立ったほか、HSBCやプルーデンシャルなど金融株が値下がりした。半面、BPやシェルなどエネルギー株は買われた。

・フランクフルト株式相場は続落。ペロシ米下院議長の台湾訪問で、米中間の緊張が激化するとの懸念から売りが優勢となった。個別ではプーマ(3.74%安)やザランド(3.19%安)、フレゼニウス(2.90%安)などの下げが目立った。

・欧州債券相場は下落。米債安につれた。

(中村)
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