東京為替見通し=ペロシ氏訪台で中国の対応に要注目、FRB要人講演控え動きは偏れないか

 海外市場でドル円は、ペロシ米下院議長の台湾訪問で、米中間の緊張が激化するとの懸念から、アジア市場では一時130.41円と6月3日以来約2カ月ぶりの安値を付けたが、NY市場では底堅く推移した。市場で台頭していたFRBが利上げペースを緩めるとの見方が後退し、米国債の売り(金利は上昇)とドル買いが強まり、取引終了間際に一時133.18円まで日通し高値を更新した。ユーロドルは、一時1.0164ドルまで下げ足を速めた。

 本日の東京時間のドル円は、133円台を中心にもみ合いか。昨日は今年の米連邦公開市場委員会(FOMC)の投票メンバーであるメスター米クリーブランド連銀総裁、翌年の投票メンバーのエバンズ米シカゴ連銀総裁、そしてデイリー米サンフランシスコ連銀総裁が相次いで先週末のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の利上げに対する慎重姿勢を否定した。
 本日もハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、バーキン米リッチモンド連銀総裁、カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁と相次いで講演の予定があることで、内容次第で米金利が激しく上下するだろう。

 FRB関係者の講演を控えていることもあり、東京時間では時間外の米債市場が動いても積極的に偏ったリスクを取り行くのは難しそうだ。なお、上述のメンバーではハーカー氏とバーキン氏はややタカ派より、カシュカリ氏はハト派と捉えられている。そのため、これらの姿勢をある程度割り引いて講演を聞く必要がある。

 東京時間で注目されるのは、ペロシ米下院議長が台湾に訪問中なことで、中国がどのような対応をしてくるか。昨日のドル円の下げのきっかけとなったのは「中国軍が南シナ海で演習を開始する」という報道だった。同様のニュースが流れてくる可能性は高く、ドル円や株式相場に大きな影響を与えそうだ。ペロシ氏の訪台について、ロシアと北朝鮮は中国の内政問題への介入と、米国を非難していることもあり、中国も他国へのアピールとして弱腰姿勢を見せることもできない。なお、ペロシ氏は日本時間の11時半ころに台湾の蔡英文総統と会談を行う予定とされている。

(松井)
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