ロンドン為替見通し=スイスCPI、中国の報復行動、OPEC+などに注目
本日の欧州時間では、序盤はスイス消費者物価指数(CPI)に注目が集まりそうだ。7月の予想は前年比では3.5%が中心値になっており、6月の3.4%より上回ると見られている。
スイス中銀(SNB)がこれまでの低金利策を転換しただけでなく、今後もインフレ高進の場合は躊躇なく利上げをするとしていることで、予想比上振れの結果となった場合には市場の反応が敏感になりそうだ。もっとも、SNBの次期会合は9月22日であり、この後のインフレの推移などを確かめる必要もあるため、7月の指標だけで大きな流れが決まるのは難しいだろう。
なお、7月後半のユーロスイスフランは連日年初来安値を更新し、2015年のフラッシュクラッシュ以来の水準でじり安となっている。
欧州勢が本格参入した後には、各国のサービス部門PMI改定値や6月ユーロ圏卸売物価指数(PPI)と小売売上高が発表される。しかし、どの指標も市場の方向性を変えるほど反応するのは難しいと思われる。よって、注目は米中関係・米債市場の動き・エネルギー価格の推移の3点になるだろう。
1点目の米中関係は、ペロシ米下院議長の訪台により、中国の報復行為が警戒される。現時点では台湾に対する天然砂の輸出を禁止した程度の軽いものしか発表はされていないが、ペロシ氏が台湾を守るということを明確に示したことで、おそらく米国に対してもインパクトのある通商的な報復措置を熟考している最中だろう。米国への報復措置の規模が大きくなれば株売りにつながり、徐々に為替市場にも影響を及ぼしそうだ。
2点目の米債市場は、7月米ISM非製造業指数などの米指標と、米FRB高官の講演により上下することが予想される。本日講演予定の、ハーカー氏とバーキン氏はややタカ派より、カシュカリ氏はハト派と捉えられている。そのため、これらの姿勢をある程度割り引いて講演を聞く必要がある。
そして、3点目のエネルギー価格の動きだが、石油輸出国機構(OPEC)プラス閣僚級会合が本日オンラインで開催される。
週初にはバンク・オブ・アメリカのアナリストが、ロシアがガス供給を削減するにつれて、欧州大陸の冬の備蓄が不十分であることが判明する可能性があると指摘した。また、オーストラリア政府は液化天然ガスの不足を警告し、輸出業者に供給を国内市場に転用するよう求めている。
OPECプラスで増産拡大など具体的なエネルギー供給の改善策が見えない場合は、天然ガス価格の上昇圧力にも繋がると思われ、欧州売りとなりユーロの重しになりそうだ。
・想定レンジ上限
ユーロドルは、日足一目均衡表・基準線1.0244ドル。
ユーロスイスフランは、日足一目均衡表・転換線の0.9796フラン。
・想定レンジ下限
ユーロドルは、先月27日安値1.0097ドル。
ユーロスイスフランは、先月29日に約7年7カ月ぶりに付けた安値0.9700フラン。
(松井)
スイス中銀(SNB)がこれまでの低金利策を転換しただけでなく、今後もインフレ高進の場合は躊躇なく利上げをするとしていることで、予想比上振れの結果となった場合には市場の反応が敏感になりそうだ。もっとも、SNBの次期会合は9月22日であり、この後のインフレの推移などを確かめる必要もあるため、7月の指標だけで大きな流れが決まるのは難しいだろう。
なお、7月後半のユーロスイスフランは連日年初来安値を更新し、2015年のフラッシュクラッシュ以来の水準でじり安となっている。
欧州勢が本格参入した後には、各国のサービス部門PMI改定値や6月ユーロ圏卸売物価指数(PPI)と小売売上高が発表される。しかし、どの指標も市場の方向性を変えるほど反応するのは難しいと思われる。よって、注目は米中関係・米債市場の動き・エネルギー価格の推移の3点になるだろう。
1点目の米中関係は、ペロシ米下院議長の訪台により、中国の報復行為が警戒される。現時点では台湾に対する天然砂の輸出を禁止した程度の軽いものしか発表はされていないが、ペロシ氏が台湾を守るということを明確に示したことで、おそらく米国に対してもインパクトのある通商的な報復措置を熟考している最中だろう。米国への報復措置の規模が大きくなれば株売りにつながり、徐々に為替市場にも影響を及ぼしそうだ。
2点目の米債市場は、7月米ISM非製造業指数などの米指標と、米FRB高官の講演により上下することが予想される。本日講演予定の、ハーカー氏とバーキン氏はややタカ派より、カシュカリ氏はハト派と捉えられている。そのため、これらの姿勢をある程度割り引いて講演を聞く必要がある。
そして、3点目のエネルギー価格の動きだが、石油輸出国機構(OPEC)プラス閣僚級会合が本日オンラインで開催される。
週初にはバンク・オブ・アメリカのアナリストが、ロシアがガス供給を削減するにつれて、欧州大陸の冬の備蓄が不十分であることが判明する可能性があると指摘した。また、オーストラリア政府は液化天然ガスの不足を警告し、輸出業者に供給を国内市場に転用するよう求めている。
OPECプラスで増産拡大など具体的なエネルギー供給の改善策が見えない場合は、天然ガス価格の上昇圧力にも繋がると思われ、欧州売りとなりユーロの重しになりそうだ。
・想定レンジ上限
ユーロドルは、日足一目均衡表・基準線1.0244ドル。
ユーロスイスフランは、日足一目均衡表・転換線の0.9796フラン。
・想定レンジ下限
ユーロドルは、先月27日安値1.0097ドル。
ユーロスイスフランは、先月29日に約7年7カ月ぶりに付けた安値0.9700フラン。
(松井)