ニューヨーク外国為替市場概況・10日 ドル円、大幅反落

 10日のニューヨーク外国為替市場でドル円は大幅に反落。終値は132.89円と前営業日NY終値(135.05円)と比べて2円16銭程度のドル安水準だった。米労働省が発表した7月米消費者物価指数(CPI)は前年同月比で8.5%上昇と予想の8.7%上昇を下回り、約40年ぶりの伸びを記録した6月の9.1%上昇から鈍化。前月比でも横ばいと予想の0.2%上昇を下回り、エネルギーと食品を除くコア指数も予想より弱い数字となった。米国のインフレがピークアウトしたとの見方が広がると、米連邦準備理事会(FRB)の急激な利上げ観測が後退し、幅広い通貨に対してドル売りが強まった。23時30分過ぎに一時132.03円まで急落した。
 ただ、エバンス米シカゴ連銀総裁やカシュカリ米ミネアポリス連銀総裁の発言が伝わると、米10年債利回りが上昇に転じ、ドル円にも買い戻しが入った。3時30分過ぎには133.07円付近まで下げ渋る場面があった。
 米CPIの結果を受けて、エバンス氏は「インフレに関して初めてのポジティブな数値となった」としながらも、「インフレは容認できないほど高い」「FF金利を年末までに3.25-3.50%、来年末までに3.75-4.00%に引き上げる可能性がある」などと発言。
 また、カシュカリ氏も「この結果を歓迎すべき」としながらも、「インフレへの勝利宣言には程遠い」として「FF金利を年末までに3.9%、来年末までに4.4%まで引き上げる必要がある」との考えを示した。来年初めに利下げを見込む市場の観測については「現実的ではない」との見方を改めて示した。

 ユーロドルは3日続伸。終値は1.0299ドルと前営業日NY終値(1.0213ドル)と比べて0.0086ドル程度のユーロ高水準だった。米CPIの下振れをきっかけに米金利が低下するとユーロ買い・ドル売りが先行。24時過ぎに一時1.0368ドルと日通し高値を更新した。
 ただ、米長期金利が上昇に転じると徐々に上値が重くなり、4時30分前には1.0295ドル付近まで下押しした。
 なお、米ウォールストリート・ジャーナルのFEDウォッチャー、ニック・ティミラオス記者は「FRBはインフレ減速のさらなる証拠を求めている可能性が高い」と指摘し、「今後のデータで物価圧力が緩和されていることが確認されれば、FRBは9月に0.50%の利上げを実施する可能性があるものの、0.75%利上げの可能性は依然としてある」との考えを示した。

 ユーロ円は7営業日ぶりに反落。終値は136.90円と前営業日NY終値(137.92円)と比べて1円02銭程度のユーロ安水準。21時前に一時138.40円と本日高値を付けたものの、米インフレ指標の結果を受けてドル円が急落するとユーロ円にも売りが波及。23時30分過ぎに一時136.62円と本日安値を付けた。ただ、そのあとは137.00円を挟んだもみ合いに終始した。

本日の参考レンジ
ドル円:132.03円 - 135.30円
ユーロドル:1.0202ドル - 1.0368ドル
ユーロ円:136.62円 - 138.40円

(中村)
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