欧州マーケットダイジェスト・18日 株高・金利上昇・ドル高・ユーロ安

(18日終値:19日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=135.89円(18日15時時点比△0.68円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=137.00円(▲0.43円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0081ドル(▲0.0083ドル)
FTSE100種総合株価指数:7541.85(前営業日比△26.10)
ドイツ株式指数(DAX):13697.41(△70.70)
10年物英国債利回り:2.310%(△0.022%)
10年物独国債利回り:1.102%(△0.019%)

※△はプラス、▲はマイナスを表す。

(主な欧州経済指標)        <発表値>    <前回発表値>
7月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値
前年比                8.9%       8.9%
7月ユーロ圏HICPコア改定値
前年比                4.0%       4.0%

※改は改定値を表す。▲はマイナス。

(各市場の動き)
・ユーロドルは頭が重かった。独長期金利の上昇を手掛かりにユーロ買い・ドル売りが先行し、一時1.0188ドル付近まで上げたものの、アジア時間に付けた日通し高値1.0193ドルが目先レジスタンスとして意識されると失速した。
 ユーロ圏の深刻なエネルギー危機が警戒される中、高インフレによる域内の景気悪化が意識されやすく、ユーロ売り・ドル買いが進行。2時過ぎに一時1.0080ドルと7月18日以来1カ月ぶりの安値を付けた。市場では「欧州の主要河川の水位低下が物流停滞を招き、供給制約によるインフレ長期化を見込む声が増えている」との指摘があった。
 記録的な熱波に見舞われている欧州では、物流の大動脈であるライン川の水位が一段と低下。大型船などが航行できず、燃料などの輸送が滞ることで、電力不足や工場の稼働停止などが懸念されている。

・ポンドは軟調。対ドルは一時1.1923ドルと7月22日以来の安値を付けたほか、対円では161.69円、対スイスフランでは1.1409フランまでポンド安に振れた。前日の7月英消費者物価指数(CPI)の上振れで、高インフレと金融引き締めによる英景気の後退懸念が意識されてポンド売りが優勢となった。

・ドル円は底堅い動き。米中長期金利が低下すると円買い・ドル売りが先行。東京時間に付けた134.74円を下抜けると目先のストップロスを巻き込みながら一時134.65円まで値を下げた。
 ただ、8月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数が6.2と予想の▲5.0に反してプラスに転じると一転ドル買いが優勢に。ユーロやポンドに対してドル買いが強まった影響も受けて底堅く推移した。アジア時間の高値135.43円や前日の高値135.50円を上抜けると、一時7月28日以来の高値となる135.90円まで上値を伸ばした。
 デイリー米サンフランシスコ連銀総裁が「インフレへの勝利宣言をするにはかなり早すぎる」「9月会合では0.50%もしくは0.75%利上げが妥当」と発言し、ブラード米セントルイス連銀総裁が「9月会合では0.75%の利上げ支持を検討」「インフレがピークに達したというには時期尚早」と述べたこともドル買いを誘ったようだ。

・ユーロ円は弱含み。高インフレによるユーロ圏景気の悪化が懸念される中、ユーロ全面安となった流れに沿って一時136.56円まで値を下げた。ただ、ドル円の上昇につれた買いが入ると137.09円付近まで下げ渋る場面があった。

・トルコリラは急落。対ドルでは一時18.1394リラまで下落し、昨年12月付けた史上最安値18.3633リラに迫った。対円では一時7.42円まで値を下げた。トルコ中銀はこの日、金融政策決定会合を開き、政策金利を現行の14.00%から13.00%に引き下げることを決めたと発表。市場では金利を据え置くとの予想が多かったが、予想外の利下げを受けてリラを売る動きが広がった。

・ロンドン株式相場は反発。前日の7月英CPIの上振れで、高インフレと金融引き締めによる英景気の後退懸念が意識されて売りが先行した。半面、外国為替市場でポンド安が進むと、ポンド安の恩恵を受けやすい多国籍企業を中心に買いが入り相場を下支えした。

・フランクフルト株式相場は反発。インフレ長期化の懸念から売りが出やすいものの、前日に急落した反動で買い戻しが入ると反発して引けた。個別ではインフィニオン・テクノロジーズ(2.77%高)やコベストロ(1.99%高)、BASF(1.77%高)などの上昇が目立った。

・欧州債券相場は下落。インフレ長期化の懸念から独国債に売りが出た。

(中村)
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