欧州マーケットダイジェスト・22日 天然ガス急騰・株安・金利上昇・ユーロ安

(22日終値:23日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=137.44円(22日15時時点比△0.15円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=136.44円(▲1.29円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=0.9927ドル(▲0.0105ドル)
FTSE100種総合株価指数:7533.79(前営業日比▲16.58)
ドイツ株式指数(DAX):13230.57(▲313.95)
10年物英国債利回り:2.514%(△0.103%)
10年物独国債利回り:1.306%(△0.076%)

※△はプラス、▲はマイナスを表す。

(主な欧州経済指標)
特になし

(各市場の動き)
・ユーロドルは軟調。欧州の天然ガス先物価格が20%超急騰するなど、エネルギー供給の先行き不透明感が根強い中、ユーロ圏景気の悪化を懸念したユーロ売り・ドル買いが優勢となった。7月14日の安値0.9952ドルを下抜けると一時0.9926ドルと2002年12月以来の安値を更新した。
 ナーゲル独連銀総裁は週末、独紙とのインタビューで「欧州中央銀行(ECB)は利上げを継続すべき」と述べた一方、「エネルギー情勢が悪化した場合、ドイツはリセッション(景気後退)に陥る可能性がある」と警鐘を鳴らした。

・ドル円は底堅い動き。時間外の米10年債利回りが2.94%台まで低下すると円買い・ドル売りが先行。欧州株や米株指数先物が下落したことも相場の重しとなり、週明け早朝取引の安値136.78円を割り込み136.70円まで値を下げた。
 ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢に。対ユーロ中心にドル買いが進んだ流れに沿って円売り・ドル買いが出たほか、米10年債利回りが3.0349%前後と7月21日以来約1カ月ぶりの高水準を付けたことがドル買いを促し、一時137.65円と7月22日以来1カ月ぶりの高値を更新した。
 26日のジャクソンホール会議でのパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演に注目が集まる中、市場では「FRB当局者らがジャクソンホールでタカ派的なスタンスを改めて示す」との見方が広がっており、ドル買いを誘った面もあった。

・ユーロ円は頭が重かった。ドル円の上昇につれた買いが入ったものの、ユーロドルの下落につれた売りが出ると一時136.40円と日通し安値を更新した。ロシアからのエネルギー供給不安が再燃し、ユーロ圏の景気懸念を強めている。
 ロシア国営の天然ガス会社ガスプロムは前週末、欧州に天然ガスを送る主要パイプライン「ノルドストリーム1」について、8月31日から9月2日までの3日間、点検のためガス供給を停止すると発表した。ただ、市場では「メンテナンス作業後もサービスが計画通りに復旧しないのではないか」との懸念が強まっている。

・ロンドン株式相場は3日ぶりに反落。高インフレと金融引き締めによる英景気の後退懸念が意識されて売りが出たものの、外国為替市場でポンド安が進むと、ポンド安の恩恵を受けやすい多国籍企業を中心に買いが入ったため下値も限定的だった。セグロやランド・セキュリティーズ・グループなど不動産株が売られたほか、バークレイズなど金融株の一角に売りが出た。

・フランクフルト株式相場は大幅に続落。天然ガス価格の高騰に伴うユーロ圏景気悪化への懸念から株売りが広がった。個別ではコベストロ(6.83%安)やザランド(6.05%安)、アディダス(5.21%安)などの下げが目立った。

・欧州債券相場は下落。天然ガス価格の急騰を背景に、高インフレが長期化するとの見方から独国債に売りが出た。

(中村)
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