東京為替見通し=露軍によるウクライナへの大規模攻撃に要警戒か

 23日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米10年債利回りが3.0740%前後まで上昇したことで一時137.64円付近まで上昇後、弱い米国経済指標を受けて135.82円まで反落した。その後は再び136円台に持ち直した。ユーロドルは欧州序盤の安値0.9901ドルから1.0018ドルまで反発した。ただし、一巡後はパリティ割れとなった。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、26日に予定されているジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長のタカ派講演への警戒感から底堅い展開が予想される中、ロシアによるウクライナ大規模攻撃の噂に警戒する展開となる。

 昨日のニューヨーク市場では、米国の低調な経済指標を受けて、米連邦準備理事会(FRB)が積極的な利上げを継続するという観測が後退したことで、ドルは反落している。
 シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、9月20-21日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.50%の利上げ確率は49.5%、0.75%の利上げ確率は50.5%とほぼ拮抗している。

 カンザスシティー地区連銀がワイオミング州ジャクソンホールで25-27日に開催する毎年恒例の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)で、パウエルFRB議長は26日午前10時(日本時間午後11時)から経済見通しについて講演する予定だ。 

 パウエルFRB議長は、昨年のジャクソンホール会議では「インフレ高進は一時的」と述べてインフレ動向を読み違えていた。今年についてはインフレが和らぐ兆しが表れる中でも一段の引き締めにコミットする姿勢を再確認する可能性が高い、と警戒されており、予断を許さない状況が続いている。

 本日8月24日は、ウクライナにとって1991年に崩壊直前のソ連から独立を宣言した記念すべき日であり、今年は31周年を迎える。

 そして、ロシアにとっては、2月24日のウクライナ侵攻開始から半年を迎える日であり、ロシア軍がS300地対空ミサイルシステムを使った「大規模な砲撃」を計画している、と警戒されている。ウクライナのNGO「戦略コミュニケーションセンター」は、ミサイルを含む重火器を搭載したロシア軍の複数の列車がウクライナ国境付近に向けて移動していると指摘しており、ウクライナ軍も反撃への備えを進めているらしい。

 ウクライナのゼレンスキー大統領も、ロシア軍が「特に醜悪な」攻撃を仕掛ける可能性があると警告。米当局筋も、ロシアによる大規模な攻撃の可能性を警告した。

 ロシア軍は、2月24日の現地時間午前6時48分頃にウクライナに侵攻開始しており、本日も、ウクライナ時間午前7時頃(日本時間13時頃)に警戒しておきたい。想定以上の大規模な攻撃、すなわちウクライナの首都キーウへのミサイル攻撃や原発関連施設への攻撃だった場合は、有事のドル買い、ユーロ売りが想定される。


(山下)
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