ロンドン為替見通し=ウクライナ情勢や天然ガス価格の動向に要注目か

 本日のロンドン為替市場のユーロドルは、重要な経済指標や要人発言の予定がないことから、ウクライナ情勢や天然ガス価格の動向に注目する展開が予想される。

 米国は2022年1月から6月までの上半期に2四半期連続のマイナス成長を記録し、「テクニカル・リセッション」に陥ったものの、7月の雇用統計は、7-9月期にプラス成長に浮上する可能性を示唆しており、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では0.75%の追加利上げ観測が台頭している。

 一方、ユーロ圏は、2022年の下半期にマイナス成長に落ち込み、ロシア産天然ガスの供給遮断などからエネルギー危機に襲われる可能性が警戒されており、追加利上げの可能性がやや低下しつつある。
 すなわち、欧州中央銀行(ECB)は、2011年7月の利上げ後に、欧州のソブリン債危機で11月に利下げに転じ、2008年7月の利上げの後に、世界金融危機により10月に利下げに転じたように、今年も7月の利上げの後に秋には利下げに転じるのではないか、との警戒感が高まっている。

 ユーロドルは、ユーロ圏のスタグフレーション、リセッション(景気後退)への警戒感、欧米金融政策の乖離観測から下値リスクに警戒すべきかもしれない。
 本日は、ロシア軍が攻撃していると報じられているウクライナ南部にある同国最大のザポロジエ原発に関するヘッドラインに要警戒か。
  また、格付け会社ムーディーズが、イタリアの格付けについて、政治環境により構造改革の実施が妨げられるリスクが高まっているとして、見通しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げており、イタリア国債の動向にも要注目か。

 ユーロドルのテクニカル分析では、1.3993ドルから1.0341ドルまでの下落幅▲0.3652を1.2349ドルから下げた0.8697ドルが下値目標値として点灯している。

想定レンジ上限
・ユーロドルの上値目処(めど)は、8月4日の高値の1.0254ドル、ユーロ円は一目・雲の下限の138.47円。

想定レンジ下限
・ユーロドルの下値目処(めど)は、7月27日の安値の1.0097ドル、ユーロ円は一目・転換線の136.46円。

(山下)
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