ニューヨーク外国為替市場概況・29日 ドル円、続伸

 29日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続伸。終値は138.72円と前営業日NY終値(137.64円)と比べて1円08銭程度のドル高水準だった。アジア時間に一時139.00円まで上昇した反動でポジション調整目的の売りが先行すると、21時30分過ぎに一時138.27円付近まで下押しした。WTI原油先物価格の上昇を背景に、対資源国通貨中心にドル売りが進んだ影響も受けた。
 ただ、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の26日の講演で米金融引き締めの長期化観測が強まる中、引けにかけては再び強含んだ。米長期金利の上昇に伴う買いも入り、一時138.88円付近まで値を上げた。

 ユーロドルは反発。終値は0.9997ドルと前営業日NY終値(0.9966ドル)と比べて0.0031ドル程度のユーロ高水準だった。欧州の天然ガス価格の下落を受けて、エネルギー価格高騰によるユーロ圏景気の減速懸念が和らぐとユーロ買い戻しが広がった。フォンデアライエン欧州委員長が「電力市場への緊急介入を準備」と述べたと伝わるとユーロ買いがさらに進み、一時1.0029ドルと日通し高値を付けた。
 ただ、そのあとは米長期金利の上昇に伴うユーロ売り・ドル買いが出たため、0.9981ドル付近まで下押しした。レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミストが「遅過ぎず速過ぎない安定したペースでターミナルレートとの差を埋めることが重要」と述べ、大幅利上げの議論をけん制したことも相場の重し。
 なお、一部のECB政策委員会メンバーからは「記録的な高インフレに対処するため、来月8日の理事会で、通常の3倍に当たる0.75%の利上げについて議論すべき」との声が上がっている。

 ユーロ円は続伸。終値は138.69円と前営業日NY終値(137.20円)と比べて1円49銭程度のユーロ高水準。天然ガス価格の下落をきっかけに全般ユーロを買い戻す動きが先行。一時310ドル超下落したダウ平均が上げに転じたタイミングで円売り・ユーロ買いが活発化すると、2時過ぎに一時138.97円と7月28日以来約1カ月ぶりの高値を付けた。
 ユーロ円以外のクロス円もしっかり。ポンド円は一時162.65円、豪ドル円は95.93円、NZドル円は85.52円、カナダドル円は106.81円、南アフリカランド円は8.25円、メキシコペソ円は6.95円まで値を上げた。

本日の参考レンジ
ドル円:137.37円 - 139.00円
ユーロドル:0.9914ドル - 1.0029ドル
ユーロ円:137.03円 - 138.97円

(中村)
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