欧州マーケットダイジェスト・30日 株まちまち・金利上昇・ドル底堅い

(30日終値:31日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=138.74円(30日15時時点比△0.26円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=138.98円(△0.49円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0017ドル(△0.0017ドル)
FTSE100種総合株価指数:7361.63(前営業日比▲65.68)
ドイツ株式指数(DAX):12961.14(△68.15)
10年物英国債利回り:2.704%(△0.102%)
10年物独国債利回り:1.511%(△0.007%)

※△はプラス、▲はマイナスを表す。

(主な欧州経済指標)        <発表値>    <前回発表値>
8月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値)▲24.9      ▲24.9
8月ユーロ圏経済信頼感指数      97.6       98.9・改
8月独消費者物価指数(CPI)速報値
前月比                0.3%      0.9%
前年比                7.9%      7.5%

※改は改定値を表す。▲はマイナス。

(各市場の動き)
・ドル円は底堅い。米10年債利回りの低下を手掛かりに円買い・ドル売りが先行。前日のNY時間安値138.27円を下抜けると一時138.05円まで値を下げた。ただ、節目の138円は維持した。
 NYの取引時間帯では、6月米ケース・シラー住宅価格指数や6月米住宅価格指数など住宅関連の指標が予想を下回り、ドルの重しとなる場面もあったが、その後発表の8月米消費者信頼感指数が103.2と予想の97.9を大幅に上回ったことが伝わると買い戻しが優勢に。米10年債利回りが再び上昇し、一時3.1493%前後と6月29日以来約2カ月ぶりの高水準を付けると全般ドル買いが活発化。アジア時間の高値138.78円を上抜けて139.07円まで上値を伸ばした。
 米連邦公開市場委員会(FOMC)執行部の1人であるウィリアムズNY連銀総裁はこの日、「インフレは依然として高過ぎる」と述べ、「米連邦準備理事会(FRB)はFF金利を3.5%を幾分上回る水準に引き上げる必要がある」との認識を示した。なお、9月FOMCでの利上げ幅については「データ次第」として明言を避けた。

・ユーロドルは方向感に乏しい展開だった。欧州の天然ガス価格の下落を受けて、エネルギー価格高騰によるユーロ圏景気の減速懸念が和らぐとユーロ買いが先行。18時30分前に一時1.0055ドルと日通し高値を付けた。ただ、26日の高値1.0090ドルが戻りの目処として意識されると次第に上値を切り下げた。予想を上回る米消費者信頼感指数を受けて米長期金利が上昇すると全般ドル買いが強まり、一時0.9983ドル付近まで下押しした。
 もっとも、アジア時間に付けた日通し安値0.9982ドルが目先サポートとして働くと買い戻しが優勢となり1.0035ドル付近まで下げ渋った。欧州中央銀行(ECB)による大幅利上げ観測の高まりを背景に、ドル以外の通貨に対してはユーロ買いが強まった。
 ユーロポンドは一時0.8604ポンド、ユーロ豪ドルは1.4632豪ドル、ユーロNZドルは1.6353NZドル、ユーロカナダドルは1.3135カナダドル、ユーロスイスフランは0.9773スイスフランまで上昇した。なお、一部のECB政策委員会メンバーからは「記録的な高インフレに対処するため、来月8日の理事会で通常の3倍に当たる0.75%の利上げについて議論すべき」との声が上がっている。

・ユーロ円は堅調。ドル円とユーロドルの値動きの影響を同時に受けたため、しばらくはもみ合いの展開が続いていたが、1時30分前に一時139.22円と日通し高値を付けた。ECBによる大幅利上げ観測の高まりを背景に、全般ユーロ買いが進んだ流れに沿った。

・ロンドン株式相場は続落。前週末の米国株の急落などを手掛かりに売りが先行。高インフレの長期化と金融引き締めによる英景気の後退も引き続き懸念された。リオ・ティントやアングロ・アメリカンなど素材株が下落したほか、アストラゼネカなど医薬品株の一角に売りが出た。BPなどエネルギー株も軟調だった。

・フランクフルト株式相場は3日ぶりに反発。前日に7月15日以来の安値を更新したあとだけに短期的な戻りを期待した買いが入った。欧州の天然ガス価格の下落を受けて、エネルギー価格高騰によるユーロ圏景気の減速懸念が和らいだ面もあった。個別ではポルシェ(4.42%高)やプーマ(3.08%高)、インフィニオン・テクノロジーズ(2.68%高)などの上昇が目立った。

・欧州債券相場は下落。8月独消費者物価指数(CPI)速報値が前年比で予想を上回ると、独国債に売りが出た。

(中村)
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