ロンドン為替見通し=ユーロ圏8月インフレ率と天然ガス価格動向に要注目か

 本日のロンドン為替市場のユーロドルは、天然ガス価格動向に注視しながら、ユーロ圏8月の消費者物価指数速報値を見極めていく展開が予想される。

 フォンデアライエン欧州委員長が「電力市場への緊急介入を準備」と述べたことで、天然ガス価格が反落しており、エネルギー価格高騰によるユーロ圏景気の減速懸念がやや後退しつつある。欧州の天然ガス価格の指標であるTTFは、8月26日の高値339.195ユーロ(1MWh)から昨日は250ユーロ台まで下落している。
 ロシア国営ガス会社ガスプロムは、欧州向け天然ガス・パイプライン「ノルドストリーム1」を8月31日から9月2日まで一時停止にすると発表しており、9月3日以降に天然ガスの供給が再開されるのか否かが注目されている。
 さらに、9月5日に開催予定のOPECプラスでは、供給削減の可能性が警戒されており、原油や天然ガス価格に関しては、予断を許さない状況が続いている。

 8月独消費者物価指数(CPI)速報値は、前年比+8.8%まで上昇した。ドイツ連邦銀行は今年10-12月(第4四半期)にインフレ率が約10%に達すると予想している。
 本日発表されるユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値は、前年比+9.0%と予想されており、7月の前年比+8.9%からの上昇が見込まれている。予想通りならば、9月8日の欧州中央銀行(ECB)理事会での0.75%利上げの可能性が高まることになる。
 しかしながら、ユーロ圏の物価上昇と景気減速が併存するスタグフレーションへの警戒感から、ユーロの上値は限定的だと思われる。

想定レンジ上限
・ユーロドルの上値目処(めど)は、一目・基準線の1.0135ドル、ユーロ円は一目・雲の上限の140.40円。

想定レンジ下限
・ユーロドルの下値目処(めど)は、8月23日の安値の0.9901ドル、ユーロ円は8月30日の安値の138.26円。

(山下)
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