ロンドン為替見通し=独8月インフレ率と天然ガス価格動向に要注目か

 本日のロンドン為替市場のユーロドルは、天然ガス価格動向に注視しながら、8月の独消費者物価指数速報値、ユーロ圏経済信頼感指数や消費者信頼感指数を見極めていく展開が予想される。

 昨日は、フォンデアライエン欧州委員長が「電力市場への緊急介入を準備」と述べたことで、天然ガス価格がやや反落しており、エネルギー価格高騰によるユーロ圏景気の減速懸念がやや後退した。
 欧州の天然ガス価格は、8月26日には1MWhあたり343ユーロまで上昇しており、2016年から2020年までの平均価格(15ユーロ/ MWh)の実に23倍という高値となっている。そして、原油価格に換算すると1バレル=500ドルを超えており、実際の原油価格の5倍程度まで高騰している。

 ロシア国営ガス会社ガスプロムは、欧州向け天然ガス・パイプライン「ノルドストリーム1」を8月31日から9月2日まで一時停止にすると発表しており、欧州側のエネルギー対策とロシア側のエネルギー戦略の鬩ぎあいに注目していくことになる。

 8月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:98.0)や8月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲24.9)の悪化は織り込み済みであり、ポジティブサプライズに要警戒か。
 8月独消費者物価指数(CPI)速報値は、前月比+0.3%、前年比+7.8%と予想されており、7月の前年比+7.5%からの上昇が見込まれている。
 9月8日の欧州中央銀行(ECB)理事会では、0.75%の追加利上げ観測が高まっているものの、物価上昇と景気減速が併存するスタグフレーションへの警戒感から、ユーロの上値は限定的となっている。

 英国のエネルギー規制当局は、家庭の電気・ガス料金水準の大幅な引き上げを発表している。年間の光熱費は標準世帯のモデルケースで10月から3549ポンドと、現在の1971ポンドから80%上昇する。そして、英国は、来年1月に企業と家庭を対象に計画停電を検討しており、ポンドの上値を抑える要因となっている。

想定レンジ上限
・ユーロドルの上値目処(めど)は、一目・転換線の1.0047ドル、ユーロ円は一目・雲の下限の139.02円。ポンドドルは、一目・転換線の1.1865ドル、ポンド円は一目・雲の下限の163.08円。

想定レンジ下限
・ユーロドルの下値目処(めど)は、8月23日の安値の0.9901ドル、ユーロ円は一目・転換線の137.25円。ポンドドルは8月29日の安値の1.1649ドル、ポンド円は8月26日の安値の161.22円。


(山下)
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