欧州マーケットダイジェスト・31日 ユーロ圏インフレ過去最高・株安・金利上昇

(31日終値:1日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=138.76円(31日15時時点比△0.34円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=139.43円(△0.46円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0048ドル(△0.0009ドル)
FTSE100種総合株価指数:7284.15(前営業日比▲77.48)
ドイツ株式指数(DAX):12834.96(▲126.18)
10年物英国債利回り:2.801%(△0.097%)
10年物独国債利回り:1.541%(△0.030%)

※△はプラス、▲はマイナスを表す。

(主な欧州経済指標)        <発表値>    <前回発表値>
7月独輸入物価指数
前月比                1.4%       1.0%
前年比                28.9%      29.9%
4-6月期仏国内総生産(GDP)改定値
前期比                0.5%       0.5%
8月独雇用統計
失業率                5.5%       5.4%
失業者数変化            2.80万人    4.50万人・改
8月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値
前年比                9.1%       8.9%
8月ユーロ圏HICPコア速報値
前年比                4.3%       4.0%

※改は改定値を表す。▲はマイナス。

(各市場の動き)
・ユーロドルは底堅い動き。天然ガス価格が上昇して始まるとユーロ圏景気の悪化を懸念した売りが先行。前日の安値0.9982ドルを下抜けて一時0.9972ドルまで値を下げた。
 ただ、この日発表の8月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値が前年比9.1%上昇と予想の9.0%上昇を上回り、過去最高を記録すると来週8日の欧州中央銀行(ECB)理事会で通常の3倍にあたる0.75%の利上げが実施されるとの観測が高まりユーロ買い戻しを誘った。市場では「月末のロンドン16時(日本時間24時)のフィキシングに絡んだユーロ買いのフローが観測された」との声も聞かれ、前日の高値1.0055ドルを上抜けて一時1.0079ドルまで上値を伸ばした。

・ユーロ円はしっかり。ユーロドルと同様に売りが先行すると一時138.27円と日通し安値を付けたものの、ユーロ圏インフレ率が過去最高を記録するとECBの大幅利上げ観測が高まり一転上昇した。ロンドン・フィキシングに絡んだユーロ買いのフローも観測されて、一時139.68円と7月26日以来約1カ月ぶりの高値を付けた。
 ユーロ円以外のユーロクロスも堅調だった。ユーロ豪ドルは1.4679豪ドル、ユーロNZドルは1.6422NZドル、ユーロポンドは0.8653ポンド、ユーロカナダドルは1.3188カナダドル、ユーロスイスフランは0.9825スイスフランまで値を上げた。

・ドル円は方向感に乏しい展開だった。時間外の米10年債利回りが3.08%台まで低下すると一時138.27円と日通し安値を付けたものの、売り一巡後はじりじりと買い戻しが進んだ。米10年債利回りが上昇に転じ、一時3.1606%前後と約2カ月ぶりの高水準を付けたことも相場の支援材料。19時30分過ぎには一時138.89円と日通し高値を更新した。
 米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を有するメスター米クリーブランド連銀総裁はこの日、「インフレ沈静化のために2023年初めまでにFF金利を4%超の水準に引き上げて、その後しばらくは据え置く必要がある」と述べ、「23年中の利下げはない」との予想を明確に示した。
 もっとも、8月ADP全米雇用報告で民間部門雇用者数が13.2万人増と予想の30.0万人増を下回ったことが伝わると、一時138.45円付近まで下押しする場面があった。

・ロンドン株式相場は3日続落。高インフレの長期化と金融引き締めによる英景気の後退が懸念されて株売りが広がった。アストラゼネカやグラクソスミスクラインなど医薬品株の下げが目立ったほか、BPやシェルなどエネルギー株に売りが集まった。セグロやランド・セキュリティーズ・グループなど不動産株も軟調だった。

・フランクフルト株式相場は反落。天然ガス価格の上昇に伴う景気悪化懸念が相場の重荷となった。ECBの大幅利上げ観測を背景に売りが出た面もあった。個別ではハローフレッシュ(4.29%安)やヘンケル(3.34%安)、ポルシェ(3.08%安)などの下げが目立った。

・欧州債券相場は下落。9月のECB理事会での0.75%利上げが意識される中、独国債に売りが出た。

(中村)
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