ロンドン為替見通し=ユーロドル 下値余地広げるか、ガス供給ひっ迫懸念が再浮上

 本日のロンドン為替市場では、欧州天然ガスの供給ひっ迫懸念が再び高まるなか、ユーロドルは下値余地を広げることになるか。また、英国では新首相が決まるものの市場の期待感は薄く、ポンドの地合いは弱いまま。こちらも対ドルで下サイドへの警戒感を強めそうだ。

 露国営の天然ガス会社ガスプロムは2日、欧州向けガスパイプライン「ノルドストリーム1」の供給再開を暫く延期すると発表した。欧州天然ガス価格の指標であるオランダTTFガス先物の取引終了後に出たニュースであり、本日のTTFガス先物は急反発することが予想される。

 エネルギー危機は電力会社にも打撃を与えており、ユーロ圏であるフィンランドの政府は電力会社支援のため100億ユーロ規模の緊急対策を講じる。同国の経済相は週末、「エネルギー業界のリーマン・ブラザーズとなり得る要因だ」と事態の深刻さを訴えた。

 また、独政府は4日、新たに650億ユーロ規模のインフレ対策導入を発表。国民の負担は一旦軽減されるのだろうが、冬に向けてエネルギー供給を安定させる課題についてはまだ不透明だ。

 今週は8日に欧州中央銀行(ECB)理事会が発表する金融政策が最大の注目ではあるが、それまでは天然ガス市場の動向にユーロは振らされる展開が続くか。

 ジョンソン英首相の後任を決める保守党の党首選は、本日の日本時間夜に結果が明らかになる予定。世論調査通りにトラス外相が選ばれれば、英国史上3人目の女性首相となる。そのトラス氏は、首相に選ばれれば物価対策を1週間以内に示すと述べているが、足もとで10%を超えるインフレを助長してしまうのではないかとの懸念もあるようだ。

想定レンジ上限
・ユーロドルは日足一目均衡表・転換線1.00ドル、ポンドドルは2日高値1.1589ドル。

想定レンジ下限
・ユーロドルは2002年12月2日安値0.9863ドル、ポンドドルは2020年3月20日安値1.1412ドル。

(小針)
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