ロンドン為替見通し=オセアニア市場から動意付いたポンドに注目

 本日のロンドン為替市場では、オセアニア市場から買い優勢となったポンドの動きに注目。また、ユーロにとっては、昨日は上げ幅を縮小して終えた欧州天然ガス先物に依然として目を向ける必要があるだろう。

 英国では与党・保守党の新党首に選ばれたトラス氏が、本日エリザベス女王の任命を受けて首相に正式就任する。一部通信社は、トラス新首相が、家計の光熱費負担を抑制するために1300億ポンド規模の支援策を検討していると報道。今後は企業への追加支援策も明らかになると思われ、新政権への期待感からか昨日売り込まれたポンドは反発した。

 また、昨日のロンドン午後には、マン英中銀金融政策委員会(MPC)委員の発言「インフレを避けるために力強い行動が必要」が伝わった。来週15日には政策発表を控えており、英中銀が利上げをより積極的に進めるとの思惑もポンド買いを促したか。

 もっとも、トラス政権による支援策の効果については当然ながら未知数であり、一方で財政負担が拡大するのは明らか。また、マンMPC委員の言うように英金融当局が引き締め強化に動けば、英国の景気鈍化は避けられない。そう考えると、ポンドが上値を伸ばし続けるということも簡単ではなさそうだ。ロンドン勢がアジアの値動きを帳消しにしてしまう可能性も無いとは言えないのではないか。

 ロシアから欧州にガスを供給するパイプライン「ノルドストリーム」が当面の稼働停止を発表したことを受け、オランダTTF天然ガス先物は昨日寄り付きから急騰。ただ一巡後は売り戻しも見られ、前営業日比10%超高ではあるものの日中レンジの下限で引けた。過度なエネルギー供給ひっ迫への警戒感は後退したためか、アジア時間でユーロは対ドルや円で底堅い展開。ロシア側が譲歩の姿勢を見せるのかが大きなポイントとなりそうだ。

想定レンジ上限
・ポンドドルは8月31日高値1.1694ドル、ユーロドルも同日高値1.0079ドル。

想定レンジ下限
・ポンドドルは昨日つけた2020年3月以来の安値1.1444ドル、ユーロドルも昨日記録した約20年ぶり安値0.9878ドル。


(小針)
株式会社DZHフィナンシャルリサーチより提供している情報(以下「情報」といいます。)は、 情報提供を目的とするものであり、特定通貨の売買や、投資判断ならびに外国為替証拠金取引その他金融商品の投資勧誘を目的としたものではありません。 投資に関する最終決定はあくまでお客様ご自身の判断と責任において行ってください。情報の内容につきましては、弊社が正確性、確実性を保証するものではありません。 また、予告なしに内容を変更することがありますのでご注意ください。 商用目的で情報の内容を第三者へ提供、再配信を行うこと、独自に加工すること、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。 情報の内容によって生じた如何なる損害についても、弊社は一切の責任を負いません。